Friday, September 04, 2015

予算増が止まらない

 2016年度の一般会計予算概算 額は102兆4,000億円となることが明らかになった。この概算額は2015年度の当初予算額の96兆3,420億円より、6兆580億円の増加(6.29%増)となる。その増加は国の借金返済、医療・年金等社会保障関係費、および成長戦略等重点政策費(3.9兆円分)等によるものであると説明されている。安倍晋三が二回目の総理に就任してから、一般会計の予算は増えている一方であり、由々しき事態である。

 調べて見れば、2013年度の予算は当初92兆6,115億円と計上したが、5兆4,654億円を補正した。また、2014年度では95兆8,823億円に、3兆5,289億円の補正予算を加えた。2015年度において恒例の補正予算を計上するのはほぼ確実となるとメディア関係者が指摘している。国の借金総額は既に1,000兆円を超えているのに、為政者は全く気にしていない様子であると言っても過言ではない。少子・高齢化の趨勢は少なくとも一世代先に止まることがないのは誰にとっても明らかである。それにもかかわらず、政府は税収が確実に減るので、経費を削減しよう、否経費を削減しなければならないというアクションを取らない。政府は逆に少子・高齢化が故に、医療・年金等社会保障経費が自然に増加するので、予算増は止むを得ず、その増加分をこれから消費税を引き上げることによって賄うしか方法がないと主張し、予算増を正当化する調子である。

 一般人は家計を管理すれば、解る話である。収入が増えなければ、支出を増やすことが困難であり、項目間のやり繰りで収支のバランスを図り、それでも収支が赤字となった場合に、貯蓄を崩すか、または借金をするかの何れの選択肢しか取りようがない。それは簡単な構図なのに、政府は予算の執行にそれを全く理解している行動を示していない。政府はこれまでの借金返済と社会保障関連経費の自然増に関わる規模が数年先に把握するのは容易いことである。それらの増加分に対して他の部門から同規模の支出を減らせば良いだけである。加えて、経済成長を促す、または一定水準の経済成長率を保つための財源が必要となれば、非生産的な部門へ財源を充当せず、経済成長の見込みがある部門へ傾注すれば、予算増を防ぐことができるはずである、と財政の素人でも解る。しかしながら、なぜ政府はそうしていないのか、不可解であり、その歯止めがないのは政治が国のために機能していないことが明らかである。

 予算規模が増加していくものだと当たり前のように思ってはならない。借金額を減らし、社会保障費の自然増を吸収し、さらに比較的に高い生活水準を確保するために、予算規模を増やさなくても実現することができる目利きのある政治家を選ばなければならない。そうでなければ、国は貯金がなく、国民から借金し続ける一方で、いつか必ず返済不能というツケが回ってきて国と国民が共倒れの状態が生じる。その時はもう遅い。

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