Thursday, June 17, 2010

民間人の活用

鳩山前内閣の意向を引継いだ形で、菅首相は丹羽宇一朗氏を駐中国大使の任命、さらに高速道路会社5社の社長という要職に民間企業からの人材を充てることを正式に決定した。政府または国有企業の要職に民間企業での経験者を活用するのはアメリカやヨーロッパ諸国ではよく見られるので、菅内閣の決定に対して異論はない。

しかし、やはり人選のプロセスは必ずしも透明ではない処が気に掛かる。特に、官僚組織のはい抜きは専門的な能力が限界だとか、官僚OBの場合は天下りだとか、という理由のみで、民間人の抜擢を正当化する傾向に疑問をもつ。なぜならば、日本の民間企業に長く勤めた経験者を、外交や国有企業の経営などに就かしても能力の限界やミスマッチが生じる可能性でも生じない保証はないのである。仮に、そういう問題を考慮に入れたうえの判断であっても、任命権をもつ首相や大臣の恣意性が問われかねない。

恣意的な意向を極力に取り除くため、人選のプロセスを透明にする必要がある。アメリカの経験を参考にすれば、次のような対応によって人選プロセスの透明性を確保することができよう。

まず、有識者の代表から中立的な人選委員会を設置する。その委員会は政府または大臣が指名した候補者から最も適任する候補を選ぶ。国会は超党派の衆議議員からなる委員会を設置し、公開ヒヤリングを経て選ばれた候補者の適任性を確認し、そのプロセスをクリアした候補者のみ、首相に推薦して承諾の手続きを完了する、というような具体的なアプローチを早急に確立してほしい。

サッカーワールドカップと日中韓

南アフリカで行われている第19回FIFAワールドカップにはアジア地区から日本、韓国、北朝鮮が出場している。この3カ国の代表的な選手はJリーグで活躍している。日本を代表する選手を紹介するまでもなく、韓国はイ・ジョンスは鹿島アントラーズ、パク・チソンはかつて京都サンガ(現マン・ユ)等の選手がいる。北朝鮮は鄭大世(チョンチセ、川崎フロンターレ)と安英学(アンヨンハツ、大宮アルディージャ)の二人である。Jリーグはヨーロッパ諸国の主要なサッカーリーグと同じく、ワールドカップ級の選手が活躍する場となってきたのに、ここ数年Jリーグは中々盛り上がらない。

Jリーグの各チームはもう一度地域に根付くサッカークラブという原点に戻り、さらにサッカー以外のスポーツも取り組むよう切望する。日本、中国および韓国の経済は凡そ1,100兆円であり、北米やEUに続く第3の経済地域である。このような経済規模ならば、日中韓3カ国が共同してヨーロッパ地域のサッカーリーグと競合できる舞台を用意することができるはずである。そうすれば、世界中の一流選手が集まってくると同時に、サッカーをはじめ他のスポーツ競技も活性化され、結果として3カ国の人々や文化などの交流が一層高まり、ひいては経済規模もさらに大きくなる。