Thursday, April 24, 2014

ODAの開発会社への出資に対する異議

4月22日の日経新聞の夕刊に「国際開発協力機構(JICA)は5月にもミャンマー初の近代的工業団地「ティラワ工業団地」の開発会社に10%程度を出資する。開発会社の株主である日本の商社から株式を取得するなどして5億円前後を投じる」と報じている。このような援助資金の拠出に関して疑問を持つ。

ODA(政府開発援助)とは、「政府または政府の実施機関によって開発途上国または国際機関に供与されるもので、開発途上国の経済・社会の発展や福祉の工場に役立つために行う資金・技術提供による公的資金を用いた協力のこと」である(http://www.mofa.go.jp/
mofaj/gaiko/oda/about/oda/oda.html)。これは通常工業団地の整備を通じて工業化を図ることによって雇用・所得の誘発や対外貿易の強化に寄与すると関連する。

ミャンマーのティラワ工業団地について既に2013年に日本政府は200億円の円借款で400ヘクタール分の工業団地を支える基礎インフラである発電所、工業用水、港湾等の整備を支援することを決定した。経済発展レベルが低いため、ミャンマー政府は基礎インフラの整備にあたって民間資金の調達が極めて困難のため、日本のODAを求めるほかない。しかしながら、直接な受益者となる日本企業に対してなぜODAを用いて当該工業団地の開発会社に出資している日本企業から株を取得する必要があるのかに理解を苦しむ。

まず、利益を追求する民間企業は自らリスクを取るべきであり、国民の税金からなるODAがそのリスクの一部を負担すべきではない。国はそのようなリスクの一部を負担すれば、民間企業のただ乗りを助長し、ビジネス展開の判断における慎重さの欠如をもたらす。

次に、ミャンマーにおいて絶対貧困者が多く、彼らは衣食住や医療衛生等のベシク・ヒュマン・ニーズが満たされていないので、開発公社の株式取得に当たる5億円をそれに充当されることがODAの本来の狙いである。

最後に、財政赤字を削減する手立てがない一方、高齢者への社会保障給付が増加する一方の中で、限られているODAを効果的に使用することを考えないJICAは果たして必要なのか。ベシク・ヒュマン・ニーズすら満たされていないミャンマー人を助けないならば、無用なODA支出を削減し、財政赤字の削減に貢献した方が良い。