Tuesday, February 23, 2010

冬季五輪と日本メディアの報道

日本メディアはバンクーバーの冬季オリンピックに参加している日本の選手のメダル獲得に対して大きな期待を持っているようである。23日現在日本勢が取れたメダル数は3つであり(1銀、2銅)、それが日本放送界の予想と期待からかなり少ないと思われる。それは多くの日本選手の実力以下という予想に反した結果よりも、元々日本勢の実力はかなりの種目において決勝ラウンドに進む実力を持ちながらも、メダル獲得に至るパワーが不足していると解した方が正しい。

こうした現実は日本選手が最も知っているはずなのに、日本メディアは大会の前、そして大会中に日本選手の実力を大きく膨らませながら、メダル獲得の期待を大きく煽らせ結果、選手のパフォーマンスに対して国民が失望している。しかし、全ての選手は全力を尽し、メダルを獲得するに至らなくても、競技界の最高級であるオリンピックに出場できたことに満足しているに違いない。それは素晴らしいスポーツ精神であると思う。

こういう姿勢はメディア界にとってはニュースの価値がなく、むしろ選手の実力を遥かに超えた幻想を作り上げ、読者や視聴者を囲んでニュースの価値を煽り、メディアの役割、報道の客観性や選手のスポーツマンシップ等は二の次である。

謂わば、「犬は人を噛んだ」に関してはニュース価値がなく、「人は犬を噛んだ」というのはニュース価値である。

Monday, February 15, 2010

日本財界首脳選出

日本経済団体連合会(通称、経団連)は次期会長を米倉弘昌住友化学会長に内定した。御手洗高士夫現経団連会長は、米倉次期会長が選ばれたのが「経済のグローバル化に適応できる人物」を最大な理由の一つであると強調していた。日本財界の首相と言われているこのポストは選ばれた人の過去と現在の実績で評価され、それを下に向こう2年間ないし4年間(一期2年または2期4年)にわたって日本財界の取り組むべき課題、ならびにそれに伴う斬新的なリーダーシップが期待されるのである。

しかし、今日日本経済や財界が直面している問題は、言うまでもなく10年以上のタイムスパンで、ますます少子・高齢化という国内の厳しい制約条件の下で、いかに変貌していくか、そしてその社会・経済・政治構造がグローバル的な競争において勝ち抜くかである。そうした環境に於かれているにもかかわらず、経団連は依然として高齢者である経済会の代表を会長として選び、そしてそのポストを支えるメンバー(理事や評議員)もまた高齢者である、という経済界の高齢者指導集団を固執している。

リーダーの評価は過去と現在の実績が大切であるが、未来に向けていかにリードしていくかという能力や素質がより重要であるとしばしばリーダーシップの研究者に指摘されている。従って、経団連の指導者選出方法を改めなければならいのではないかと思う。つまり、伝統や慣習である「年功序列」という発想ではなく、未来の構築、そしてその理想にむけて実現させうる若手指導者を中心にした体制に変革すべきである。

過去、現在、未来という3つの区切りで考えると、過去と現在の実績の観点で経験豊富な年寄りが後見人に添え、彼らの助言のもとに、未来の挑戦に活力、柔軟性、発想力などの視点が富む若手経済人をリーダーにする体制を求めたいのである。