Sunday, May 25, 2008

Fukuda Doctrine 2?

Prime Minister Fukuda Yasuo delivered a dinner speech on May 22 at the 14th International Conference on "The Future of Asia" organized by the Nikkei.

In his speech entitled "When the Pacific Ocean Becomes an 'Inland Sea': Five Pledges to a Future Asia that Acts Together'," Prime Minister Fukuda spelt out the following five pledges regarding concrete areas that Japan intends to take in enhancing Asian growth.

First, to emphatically support ASEAN's efforts to realize a Community; second, to reinforce its alliance with the United States of America; third, to forge itself into a "Peace Fostering Nation;" fourth, to foster and strengthen infrastructure of Asia and the Pacific for intellectual and generational exchanges; fifth, to tackle climate change and establish a low-carbon society.

In concluding his speech, Prime Minister Fukuda said, "I will close my remarks today by saying that Japan and the Japanese people desire to forge bonds 'acting together' with the people living in this region as we strengthen 'heart to heart' trust."

Many observers claim that Fukuda Yasuo, in delivering his dinner speech on May 22, was very conscious of an important and historic speech delivered by his father, Fukuda Takeo in 1977--known as Fukuda Doctrine. Thus, it is anticipated that those five pledges by Fukuda Yasuo become Fukuda Doctrine 2 or New Fukuda Doctrine for the next 30 years!

Fukuda Doctrine (of 1977) constituted three pillars: firstly, Japan will never become a military power; secondly, Japan wants to develop a heart-to-heart relationship with ASEAN countries; and thirdly, Japan will cooperate in building a bridge between ASEAN countries and Indochina countries (Cambodia, Laos, Myanmar, Vietnam).

Consequently, in retrospect, Fukuda Doctrine laid the foundation for Japan to engage with Indochina countries contructively. Particularly, Japan's proactive role in mediating Cambodia peace process, which consequently created the political environment conducive for Cambodia, Laos, Myanmar and Vietnam to join ASEAN--and the formation of ASEAN-10 envisaged by the ASEAN's founding fathers.

In addition, in the last 30 years, Fukuda Doctrine has provided a platform for Japan to engage ASEAN-5 in building a mutually trusted relations, and also supporting ASEAN-5 economic development through ODA, and with private investment and trade. Fukuda Doctrine has thus encouraged Japanese private sector to work hand-in-hand with its government in promoting trade and investment in ASEAN. Most notably approach was that Japanese government concentrated its ODA to support physical infrastructures in ASEAN countries in order to faciliate Japanese private-sector's investments, which in turn has enhanced trade relations between Japan and ASEAN countries.

With the guide of hind-sights, let's hope in the next 30 years, the five pledges of Fukuda Doctrine 2 (or New Fukuda Doctrine) will bring about: a peaceful and stable Asia; an Asia which is greater than itself; and an Asia which is of a higher living standard.

Friday, May 23, 2008

緊急援助の雑感(2)

ミャンマーサイクロン災害および中国四川大地震の救援について世界中から政府・民間から様々な形で救援を行っている。日本国内でも同様である。例えば、5月16日の当ブログにおいて紹介されたヤフーのインタネットの募金は、本日現在「ミャンマーサイクロン災害救援金」と「中国大地震救援金」がそれぞれ「8,734,847円、11,310人」、「21,663,966、20,081人」となっているようである。一週間にミャンマーサイクロン災害の救援額は約6割増、中国四川大地震の救援金は倍増となった。

これらの数字は人が本来慈善的であるのを物指していると思う。これはまた経済学の言う「経済人の合理性」という行動原理に従うものではないようである。

Friday, May 16, 2008

緊急援助の雑感

天は実に無慈悲である。

5月2日から3日にかけてサイクロンの暴風雨がミャンマー南部のイラワジ・デルタ地域(ヤンゴン市区を含む)を襲い、その結果、ミャンマー軍政の発表によると約3万5千人が死亡し(または行方不明となった)、約100万人以上の人々が被害を受けている(国連は軍政の発表した数字よりも高く推計している)。10日後の12日に、中国四川省ではマグニチュード7.8規模の大地震が発生し、中国側の発表によると、2万2千人超が死亡し、1,000万人以上の住民がその被害を受けているようである。

それぞれの天災に関して国際社会から様々な形や規模で緊急援助を行っている。日本では、政府は今日現在の時点に、ミャンマーに対して既に約1.07億円の緊急援助物資をミャンマーに提供し、そして約10億円を上限とする援助を行うことをミャンマー政府に伝えたようである。中国に対して、政府は5億円の緊急支援を行う他、緊急援助隊を派遣している(今日現在61名を四川省に派遣した)。

近年の情報通信技術の発達によって災害の模様はほぼ瞬時に世界中の人々に届けるようになった。そのお陰で、緊急援助においても、もはや政府の先行事項ではなくなり、一般市民が積極的に援助の手を差し伸ばすことが可能となった。今度のミャンマーと中国の自然災害に対して日本人は積極的に救援金を募っている。

しかしながら、一般市民の反応は被害国の政治や経済状況を関係なく、救援金の拠出規模はその国との親近感と強い相関があるように思う。例えば、ヤフーのウェブで実施されている「ミャンマー・サイクロン災害救援金」と「中国大地震救援金」の募金規模はこのブログを書いている時点に、それぞれ「5,724,293円、8,597人による」と「10,995,100円、10,864人による」という状況になっている。これを見ると、救援金の協力者は決して「経済人」の限界的行動を取っていないと考えてしまう。なぜならば、ミャンマーについては遥かに経済大国になった中国(GDPは約日本の4割、一人あたりのGDPは既に2,000ドルを超えている)と比べれば、緊急援助の限界効用が高いはずだからである。

Friday, May 09, 2008

暫定税率の復活に関する考察

4月30日に自民・公明両党の337人の衆議員(3分の2以上)の賛成で、「道路特定財源」のための本来の税率に暫定的に上乗せたガソリン税を可決し、5月1日よりその関連法が施行された。この暫定税率は約2.6兆円の税収が見込まれている。暫定税率の維持・廃止か、特定・一般財源かをめぐって政府・与党と野党の間に過去数ヶ月にわたって攻防が繰り広げられ、マスコミが詳しく報道されてきた。

建設国債や赤字国債は発行されないことを前提に、ここでマクロ経済の乗数効果を用いてこの問題を検討してみたい。賛成派にとって暫定税率による税収は道路建設のための財源、つまり公共投資の効果が得られるという考えを置くことができる(ただし、中でも少子高齢化や温暖化等を対応するための一般財源にすべきと主張する人達もいる)。一方、反対派にとって暫定税率を廃止するのは減税の効果が得られるという考えを置くことができる。

まず、公共投資による乗数効果を見よう。一般的なマクロ経済モデルで用いられる次のパラメーター値を適用する、すなわち、道路建設の用地収得費用は公的固定資本形成額の20%、その乗数は1.2とする。よって、暫定税率の税収である2.6兆円から用地収得費用を差し引けば2.08兆円が道路建設にかかる費用となり、また、それによる公的固定資本形成の乗数から約2.49兆円の経済効果が得られるのである。

次に、減税による乗数効果を試算しよう。様々な実証研究によれば、日本の限界消費性向は06~0.7、消費乗数は1.2~1.3である。ここではそれぞれ0.7、1.3を適応する。よって、限界消費性向による消費増は1.82兆円となり、また、その消費乗数効果は約2.43兆円の経済効果が得られるのである。

以上の試算から、暫定税率を維持する場合は、廃止する場合と比べて約600億円の効果があるという結果になる。因みに第一生命経済研究所は約2.21兆円の増税効果(ここでは公共投資効果と同様)を試算している。

確かに乗数効果の観点から暫定税率を維持し、道路建設を継続した方が日本のGDPに600億円の拡大を寄与することができる。しかしながら、この効果は果たして国民にとってメリットがあるかどうかを考えなければならない。言い換えれば、暫定税率からの税収を通じた公共投資では無駄が発生しないという大前提があること。そして1億2千万人全員がその恩恵を受けられるという保証がなく、むしろ土建屋を中心となる集団がその利益を受けるのは実態である。

それに対して暫定税率廃止は車を利用する人達(少なく見積もっても7千万人が車を利用している)の規模は大きく安いガソリンの恩恵を受ける。さらに、より重要なことは減税による可処分所得の使い方が個々人の裁量に委ねられ、資源配分の効率性が向上されるのみならず、経済厚生も高まる。

こうして見ると、暫定税率は実に無特定多数の国民の利益よりも、少数の利益集団のためのものであるのは明らかである。