Wednesday, March 10, 2010

報道メディアの「翻訳力」

日本の報道メディアは依然として政治に関心がなく、政局を煽る記事やニュースをばかり報道している。中でも、政治家の発言を「メディア語」に翻訳され、政局を煽る記事が多く作られている。以下の二つは具体的な例である。

その一つ、前原誠司国土交通相のテレビ番組で発言したものである(3月28日、テレビ朝日番組)。発言主旨は小沢民主党幹事長の「政治資金」に関するものであった。前原誠司大臣は「自身(小沢一郎氏)が幹事長という立場にあって、どうすれば参院選に勝てるのか考えてもらうことが大事だ」と述べたことを、メディアは「(前原誠司大臣が)国民の理解が得られない場合は自ら進退を判断すべきだとの認識を示した」という「メディア語」に翻訳された記事であった。

次に同じく前原誠司国土交通相は9日の午前に行った記者会見で、「政権交代をしたという 歴史的使命感に立って当事者が判断することだ」と述べたことを、メディアは「(前原誠司大臣が小沢一郎幹事長は)自発的に進退を検討すべきだとの考えを示した発言だ」という「メディア語」に翻訳された記事であった。

以上のように、報道メデァアは、前原誠司大臣が実際に発言したもの(イタリックの文章)を政局を煽るような解読や見解(太字の文章)を一般大衆に伝えるのである。政治家の発言は日本語という言葉通りに解せず、あるいはその発言の真意が言葉のままではなく解読が必要であり、何より報道メディアはその解読力をしか持ち得ない、という不思議な報道メディアの翻訳・解読の力であろう。

Sunday, March 07, 2010

首都高山手トンネル

西新宿JCTから大橋JCTまで4.3キロ区間が3月28日に開通することになり、約18年間をかけて全長11キロの首都高山手トンネルの建設はようやく完成されたのである。前半の熊野町JCTから西新宿までの6.7キロ区間は07年12月に開通した。山手トンネルの区間は板橋の熊野町JCTから渋谷の大橋JCTまでである。

当該トンネルは先駆的な工法で「シールドマシン」という直径約13メートルの円形堀削機によって造られた。また、騒音、排気ガス、トンネル上の景観、沿道環境などのエコロジー・環境にやさしい技術が導入されている。

首都高速道路株式会社の資料によれば、利用者は都心環状線を通さず、山手トンネルで東北道と東名を結ぶ走行距離は約5キロが短くなり、それの通過時間は18が短縮されるという。それによって年間約34,000トンのCO2削減に貢献する。CO2トン当たり2,000円だとすれば、年間6,800万円の価値となるのであろう。温暖化効果ガスの削減とは別に、利用者の時間短縮は山手トンネルが与える最も大きな効果に違いない。

トンネルの上:山手通り


トンネルの上:山手通り(煙突のようなものは高さが45メートルの換気塔であり、トンネルへの給気とトンネルから処理された排気ガスの排出)


大橋JCT:東名、渋谷への分岐


大橋JCT:西新宿方面のトンネルから上がってくる

Thursday, March 04, 2010

国際スポーツ競技における日本競争力の強化

今朝、桜井充参議員が参議院予算委員会で今後国際スポーツ競技会においてチームジャパンの強化に関する鳩山政府の財政支援について、鳩山首相と川端文部科学大臣との質疑応答を聞いた。チームジャパンはバンクーバーオリンピックでメダル5つしか獲得できなかった。それは隣の韓国や中国、そしてアメリカ、イギリス、ドイツ等の他の先進国のパフォーマンスと比べられない結果であった。

メディア報道でもあったように、桜井充参議員はチームジャパンのメダル獲得数は期待より遥かに低かった原因は国の財政支援が少なかったからであると指摘していた。ドイツ、アメリカ、イギリス、中国や韓国はバンクーバーオリンピックのために選手の強化費用はそれぞれ274億円、165億円、120億円、120億円、110億円にあったのに対して、チームジャパンが受けた公的支援は約27億円であった。こうして比較すれば、メダルの獲得数は公的支援額の大きさに比例していることが明らかである。それが故に、今後国際スポーツ競技に参加する日本選手の競争力を高めさせるために公的資金の導入額は大きくしなければならないというロジックが成立し、それを反対する人はいないのであろう。

確かにチームジャパンの国際競技において競争力を向上させるために政府の財政支援が不可欠であるが、そればかりではない。財政支援の他に民間企業や個人のスポンサーシップも極めて重要であるのも異論はない。しかしながら、もう少し創意的な取り組みを検討する必要があるように思う。

例えば、政府、民間企業や個人のスポンサーシップを超えて、長期的かつ持続的に日本の各地において地域に根ざすスポーツ選手の育成・強化を取り組むモデルの導入が考えられる。それに近い形はJリーグモデルであるが、それが殆どサッカーに限定している。つまり、地域に根ざすプロスポーツクラブを確立し、国際競技の種目を幅広くスポーツ選手の育成と強化、ひいては国際的に高い競争力を持つスポーツ選手を絶えず育てていく仕組みを展開していくことである。そのうえに、公的・民間・私的スポンサーシップを取り付ける。また、このような仕組みは実に地域の活性化にも繋がるという一石二鳥の効果がある。

分かり易い例はスペインのバルセロナスポーツクラブである。当クラブはサッカーのみならず、当地域の住民の支援を受けてレベル高い様々な競技の選手を抱えている。