Tuesday, November 17, 2015

景気後退?

物価の影響を反映した7〜9期のGDP成長率は3〜6月期よりマイナス0.2%となり、二つの四半期連続にマイナス成長であった。その趨勢が年内に続けば、年間実質GDP成長率はマイナス0.8%となる。GDP規模の縮小は民間部門の投資が停滞している原因であった。この傾向は3〜6期に既に現れていたが、7〜9月期に一層に顕著となった。企業は既存の供給力で十分に内需と外需の両面を対応することが可能であるが故に設備投資を控えているのである。

景気の状況をモニタリングする指標の一つは四半期GDPのパーフォマンスであり、特に2期連続のマイナス成長率は景気が後退局面(または不況の局面)に反転していると意味する。しかしながら、甘利経済再生大臣はその状態を認めず、むしろ「企業収益は最高水準にあり、雇用・所得環境の改善が続いている」と強調した。つまり、企業は利益を抱えているのに、従業員に対してまた適切な賃金水準を支給していない。したがって、安部総理、ならびに彼の経済関係の閣僚は企業に対して3%の賃上げを求め、それが個人消費のさらなる拡大に繋ぎ、GDP成長をけん引するという構図と考えているようである。果たして経済という「生き物」はいわゆるアベノミクスの通りに展開されるか。答えは否である。なぜならば、アベノミクスの実施は既に2年半以上経ち、GDP成長は持続的ではなかったので、個人と企業という経済主体は同じ処方箋で反応しないからである。

同様に重要な点として、安部総理は喫緊に日本経済構造転換に関わる様々な問題、とりわけ規制緩和、個人や小企業の規模でも新領域に参入できる環境、かつ公的資金からの支援ではなくリスクをとる経済社会、年功ではなく若年のリーダー、そして若手起業家が活躍できる環境等の整備・強化を促すべきである。アベノミクスは国家主導かつ税金の無駄が多い割に、持続的にGDPを拡大させることができなかったのは事実であり、安部総理は素直にそれを認め、市場と国民の声を傾け、政策転換を図らなければならない、と期待している。

しばらくブログを休んだ

学生の博士論文の添削や海外出張で1カ月ブログを書くことができなかった。その間、世の中では多くの出来事が起き、いくつか関心があるものについて自分の思うことを書き留められなかった。反省!

デジタル社会における変化が激しい。つまり、情報量が増加したのみならず、その伝達方法も広く、活字の新聞・雑誌、そして 出版物などの伝統メディアに加え、デジタル情報が絶えず、伝わってくる。一つのことを十分に消化しないままに、次のことが舞い込んでくるというデジタル情報に付いていけないのは私一人だけではあるまい。その伝達量と手段が増加した中で、受け身となっている一般人は結局目の前に留まる情報を素早く頭の中を通過してそれを忘れ去ってしまう。

例えば、2カ月前の安保法案に関して5割以上の国民が反対していたが、あっという間に安部総理が打ち上げた「一億総活躍社会」の構想に惹き付けられ、アベノミクスとは安保関連法とはなどにもはや過去となった。歴史と記憶が大切であると対岸の隣人が声高に言っている中で、こちらは果たしてそれをデジタル社会の進歩の中で保てるか、と気にしてならない。