Thursday, November 27, 2008

中小企業支援

 大学の同僚、佐久間裕秋教授に次の質問をした。「政府・与党は中小企業の資金繰り保証支援額を20兆円に拡大を打ち出し、第二次補正予算に盛り組むことに決定した。この対策 をより効果的に実現させるために、ミクロ経済レベル、そして地方レベルにおいて具体的にどのような政策の手当が考えられるか」。

以下の回答が寄せられた。

1)株式をはじめ投信、ファンドなど金融商品の下落が止まらない。レバレッジやオプションがらみのデリバティブ商品に手を出した投資家はさらに甚大な損失が発生している。多額の評価損を抱え赤字決算を余儀なくされた金融機関は、自己資本の低下を回避すべく資産圧縮に走った。貸し剥がしが横行し、結果として余波を被ったのが中小零細企業である。

2)貸出しの円滑化を図るには、自己資本の拡充が対策の王道ではあるが、市況悪化が進む中での新規の資本調達は容易ではない。こうした状況下においては、資産査定基準の緩和や時価会計の部分的適用停止などの緊急避難措置も已むを得まい。

3)建設、不動産をはじめとする相次ぐ大型倒産や原材料価格の高騰、急激な円高などに伴う景気後退など実体経済の急速な悪化も、一層の中小企業の経営環境の悪化を招いた。信用保証協会による保証枠拡大は、足元の資金繰り改善に一定の即効対策として期待できる半面、全部保証による斡旋銀行のモラルハザードは避けられない。兆円単位の代位弁済負担が発生した過去の反省はどう生かされるのだろうか。

4)自治体の制度融資窓口は年末の資金繰りに窮した地域の中小零細企業の駆込み寺と化している。小口の制度融資の一層の枠拡大を行ったとしても、信用収縮の大波の前ではその効果には限界がある。事態の改善には、当面の資金繰りを繋ぐ対症療法や景気を下支えするマクロ景気対策に加え、資産劣化により機能不全に陥った中小金融向け金融システム正常化のための方策が不可欠である。