Thursday, July 23, 2015

中国のガス田施設の公表

政府は22日に東シナ海における中国のガス田開発の海洋プラットフォーム12基の航空写真を公表した。政府はこれらの建設について既に第1基を2013年6月に確認されており、 第2期以降の建設をもモニタリングしてきた。東シナ海で日中の境界を明確に画定されていないが、12基の施設は日中中間線の中国の海域で作られているようである。また、当海域でのガス田開発を巡って両国は2010年7月27日に条約締結交渉を開始したが、尖閣諸島沖で起きた中国の漁船と海上保安庁の巡視船との衝突事件によって交渉が中止されたままである。にもかかわるず、中国は一方的に自分の海域内で強行に施設の建設を行っている。その行為は日本にとって由々しき事態であるのは明らかである。

しかしながら、中国の施設建設に関して2年前に把握していたにも関わらず、日本政府は国民に十分な情報を公表しないでいた。なぜ、今の時期に、しかも既に12基の施設の建設(第12基は2015年6月に)が確認された時点に速やかに情報公開をしなかったのかについて疑問が残る。もしかすると、これは安保法案の成立と関連しているのかと疑う。

安保法案の採決に反対する国民は5割以上、元最高裁判所の判事、元内閣法制局の局長、憲法学者、専門家、文化人等も当法案が違憲であり、安倍内閣や自民党の当法案の成立を固執している行動は立憲主義に反していると声高に叫んでいる。当法案の設立に向かって政府は日本の安全保障環境が悪化してきたのを強調している。参議院は安保法案の審議を経て採決する場合、または「60日ルール」が適用され、衆議院で最終的に可決される場合の何れを想定しながら、政府は懸命に国民に対して日本の安全保障環境が如何に脅かしているかを示し、国民の理解を深めさせようとしている。その一環で、この時点に東シナ海における中国のガス田開発の施設を公表する決定に至ったと考えられる。そうだとすれば、日本政府は国民に対して情報を操作し、日本の安全保障環境が悪化したことを国民に強く訴え、安保法案の成立に理解を取り付ける行為となる。

2年前から当該施設の建設を把握していたにもかかわらず、それらを国民に対して十分に知らせないままにしておきながら、今の安保法案の成立と合わせて情報を公開するという行動は正に情報操作の行為であり、これが為政者の民主主義的装いであると言わざるをいない。

約80年前に東條内閣が情報操作を通じて太平洋地域での戦争は「自存自衛」とか、「アジア諸国の独立と解放」の目的であるとかを主張し、戦争の正当性を訴えた。これは安倍内閣の行動と重ね合うという懸念を払拭することができない。

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