Thursday, June 18, 2015

私立大学への補助金

一般的に大学生の卒業要件は4年の在籍期間と124単位の修得である。 この二つの要件が満たされれば、○○学士という学位の資格が与えられる。言うまでもなく、それを修得するのに金が必要である。私立大学文系の学生は入学金、授業料、そして設備費等を支払、4年間では約500万円の費用となる。

勤務先の大学では、1単位とは講義45分、予習と復習それぞれ45分、15回分を基準にしている。一つの授業は2単位となり、それが講義90分、予習・復習90分、15回分から構成する。単位の合否について平常授業の評価、調査レポート、期末試験の3つの形態もあれば、出席や授業への参加度合いに加えて期末試験の結果を総合に評価する形態もある。いずれにせよ、受講生は単位を修得する最低要件は講義への出席、かつ予習と復習をしなければならない。

しかしながら、多くの学生は講義に出席するが、予習・復習をしない。または、多数の学生は講義に出ても居眠りしたり、スマートフォンを弄ったりし、講義と関係のないことをしたりすることが多い。中でも、ノートやテキストを持たず、あたかもどこかに遊びに出かけるつもりであったが、予定が変更されてキャンパスにやってきた感じの学生もいる。これは勤務先の大学の特有な状況ではなく、日本の大学が置かれている平均的な状態であると言って過言ではない。かつて教育は投資であり、大学に進学すれば、将来、より高い収入が得られ、平均以上の生活水準を享受することができると行動されていた。しかしながら、生憎現在多くの大学生は大学への進学は消費の一環であり、キャンパスライフは青春時代のレジャーランドとなってしまった。

自らか親かの意思で大学に進学し、授業料などの支出は負担して所定の要件を満たせば、立派な大学卒という学歴を修得するのは結構なものである。その観点から教育は投資か消費かのいずれでも良いと誰でも思う。しかしながら、実際に私立大学が個々の学生から徴収している入学金、授業料および施設料のみで教育の費用を十分に賄うことができないという事実は意外に大学生および学費の負担する親や保護者が知らない。大学に進学したい若者に対して負担可能な費用を公平に設定したり、教育は正の経済外部性という性質の観点から政府が補助金を支給したりしている。勤務先の大学は一人あたりの学生に対して政府から(文部科学省の予算として)約17万円の補助金を受けている(一般補助を特別補助)。したがって、4年間では一人あたりの学生は約68万の補助金を受けていることになる。

このような所得の再分配は教育が投資であるならば安い補助であると言っても良い。ところが、教育は消費であると考える場合、補助金は学生のレジャーランドへの入場券として支給されるのは無駄な所得再分配となる。財政赤字の累積は1,000兆円以上の状況に、少子・高齢化が止まらない経済社会の趨勢で、今後歳入増が見込めず、むしろ歳出が増加していく。こうした情勢の中で、歳出の削減に寄与するために、私立大学の補助金給付を取りやめるべきである。さらに、その措置によって大学へ進学する費用が高まり、その支出の価値も上がり、個々の大学生が 学費の負担は貴重であると悟るのであろう。




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