Friday, June 05, 2015

6月4日:中国について思うこと

本日は6・4天安門事件の26周年になった。その事件に中国の民主化を「運動」した犠牲者の数は未だに明らかにされていないのみならず、犠牲者への責任所在も藪の中にされたままである。その事件で亡くなられた人達のご冥福をお祈りします。合掌。

ところで、1989年6月4日に生まれた中国人は26歳以下であり、その数は約4億人であると推定される。また、その事件に参加した多くの人達は大学生(当時)は45〜55歳となっていると想像する。当時一人あたりの所得は10万円未満であったが、いまではそれが約90万円に達し、26年間に9倍の増加となった。所得の増加に伴い、 老百 姓にとっての経済自由度も増してきたが、政治的な自由は依然として制限されている。

天安門事件の後、所得の向上は「共産党王朝」の崩壊をもたらし、その結果中国は分裂するとドゥームセイヤース(doom sayers、災厄を予言する人)が指摘してきた。が、生憎その兆しが全く見当たらない。むしろ、所得が向上した中国人は「愛国心」の誇りが高くなるにつれて、国家・共産党の指導者は経済力と「愛国心」の増大を背景に近隣諸国との領土領海問題をめぐって実効支配しようとしている。つまり、中国は経済力+「愛国心」によって自信が倍増し、それが領土領海問題の現状を変えさせる力となりつつある。

各当事国は自らの外交や軍事力でも中国の力を歯止めすることができないのは明らかである。当事国はそれを抑制する対応はアメリカに期待をかけるしか方法がないとよく言われている。中米の衝突は避けたい一方、中国の膨張力を抑制したいという相反の関係が果たして成立するだろうか。さてどうなるか悩ましいものである。

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