Tuesday, March 18, 2008

日銀総裁とマスコミの対応

3月19日の福井俊彦日銀総裁の任期切れに伴い、福田首相が提示した後任総裁の候補を民主党が束ねる野党連合は参議院で拒否した。その結果、3月20日より日銀創立以来初めて総裁が空席する状況に陥る。この衆参同意人事に係わる騒動は昨年参議選挙後に取り沙汰されてきたにもかかわわらず、福田首相をはじめ自民党の執行部は敢えてその状況を打開しようとしなかったのは内閣と政権政党の無責任さを端的に現している。

日銀総裁は財務省(以前大蔵省)と日銀の出身者の広大で当てられてきた慣例に沿って福田首相はそれを固執し、武藤敏郎元財務省次官(19日までに日銀副総裁)の指名が拒否された。その後、武藤氏の先輩にあたる田並耕治元大蔵事務次官(現国際協力銀行総裁)を指名してそれが再び参議院で拒否された。結局、福田首相および政権政党は国内経済や国際金融よりも、慣例を拘るという愚かな政治決断を優先した結果と言わざるを得ない(また、このような人事は役人OBに対する天下りを助長した典型例を特記すべき)

一方マスコミの方は福田内閣や自民党に対する責任論を展開していると同時に民主党に対しても批判している。しかしながら、民主党の決断はねじれ国会の現状においては同然であることを読者に説明しても良いのではないか。そう思うのは昨年の参議選で国民から委任されたからである。マスコミはこの日銀総裁任命の衆参両院人事同意に係わる政治的駆け引きの現実性をもっと早くしかも真剣に内閣と政権政党に問いかけるべきであり、民主党をはじめ野党の取ったことを批判するよりも自らの怠慢を反省すべきである。

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