Sunday, March 09, 2008

第12回マレーシア総選挙

定数222(下院)を争う総選挙は8日に行われた。アブドラ首相率いる与党連合・国民戦線(BN)は自らの予想を反して改選前の議席数199から大幅減少し、140議席を確保し三分の二議席を届かなかった。また、公共事業相や女性・家族・社会開発相等の現職閣僚やマレーシア・インド人会議の党首等の大物議員の落選が突出した。また、同日に行われた地方議会選挙(12州、マレーシアは連邦制である)においても与党連合は5州で負われた。

一方、国民正義党(PKR)、民主行動党(DAP)、全マレーシア・イスラム党(PAS)からなる野党連合は改選前の議席数19から82へと大きく躍進した。これはアブドラ首相の経済運営、汚職・利益誘導、人種問題の煽り等を巡って国民の政府・与党連合への批判が追い風となった結果である。

さらに、特記すべきはPKRの顧問を務めるアンワル元副首相のカリスマ的な指導力によって野党連合を束ね、国民に対して、競争力強化のための経済効率性の向上と配分の公平性、人種の区別を問わない団結と社会的正義、国民の安全強化と汚職の排除、油と必需品の物価安定、教育の質的向上等というマニフェストを軸にした交代可能な連立政権を提示したことである。

アンワル元副首相は97年に発した経済・金融危機の対応にマハティール首相(同時)と対立して解任され、権力乱用罪で牢屋で5年間を過ごした。それによって今年の4月15日まで被選挙権が奪われ、今回の総選挙に立候補することができなかった。代わりにPKRの顧問として他の野党と連携を図って共闘した選挙結果であった。アンワル元副首相(61才)は被選挙権が回復した後、PKRの党首である夫人のワン・アジザが議員を辞職し、それに伴う補欠選に出馬する予定である。アンワル氏の国政復帰はマレーシア政局に大きな影響を与えるに違いない。同時に彼を中心に次の総選挙(5年後)に向けて野党連合は政権交代を実現すると多くの国民が期待している。

アンワル氏の情報に関して以下のURLを参照。
http://www.anwaribrahim.com/index.asp
http://www.harapanmalaysia.com/

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