Saturday, May 30, 2015

完全失業率の改善:雑感

5月29日の総務省統計局によれば、4月の完全失業率は3.3%(季節調整値)であり、3月と比べて0.1%の低下であった。また、完全失業者数は234万人であり、前年同月に比べて20万人の減少となった。総じてアベノミクスは雇用環境の改善をもたらしていると言ってよいか。

バブル経済の末期であった1990年1月に遡ってみると、就業者数は6,188万人であったのに対して完全失業者数は139万人であった。 2000年1月にはそれぞれ6,450万人、318万人であった。安倍晋三氏が再び総理大臣に就任した翌月(2013年1月)では就業者数と完全失業者数はそれぞれ6,289万人、279万人であった。最新の数字によれば、2015年4月に就業者数は6,338万人であり、完全失業者数は219万人であった。

これらの数字は一方、少子化・高齢化の観点からみれば、就業者数はまだ減少していない状況を明らかに示している。今後の趨勢を見守る必要がある。他方、アベノミクスは60万人の完全失業者の減少をもたらした。この成果はどう評価するかについて意見が分かれると思う。

アベノミクスの最も大きなウェートを置いてきた黒田日本銀行総裁の「異次元の金融緩和」という側面から評価してみよう。つまり、第一本の矢はマネタリー・ベースで約300兆円となっており、円対ドルの為替レートは40%以上減価されてきた。前者は未だに総合CPIが0.6%となり、2%目標に達していない。後者は輸出依存の企業または海外で直接投資等の収益や所得に依存する企業にとって収益が拡大し続いている反面、輸入依存の企業や民間消費等にとって 財・サービスが高くなってきたのは多くの人々が実感しているに違いない。

アベノミクスの第一の矢は約300兆円の金融緩和は日本の資産価値を約40%に減価させた一方、60万人の雇用増加をもたらし、一人あたりのコストは約5億円であるという計算になる。この評価の仕方は極端であるかもしれない。ともかく、アベノミクスに「万歳」と三唱をするまい。



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