Thursday, May 07, 2015

インフレ率2%の達成時期は2016年の秋に!?

4月30日に黒田東彦日本銀行総裁が2013年4月初旬より実施してきた「異次元金融緩和」は当初2年間を目処にしていた2015年中に2%の物価上昇率の達成を2016年度前半(つまり、2016年秋ごろ)に先送りしたと明言した。2年間にマネタリーベースでは約275兆円の資金を市場に供給していたにもかかわらず、2%を目標としてきた消費者物価上昇率を達成することができなかった。

経済学は社会科学の女王と呼ばれているが、自然科学と異なり、経済政策の成果を予測したり、あるいは意図にした目標に導いたりするのは至難の業である。とは言え、黒田東彦総裁は決して自らの目標達成意識を崩したわけではない。むしろ、黒田氏は国内外の講演内容を確認すれば、「異次元金融緩和」政策は人々の「脱デフレのマインドセット」への転換、「失業率の改善」と「春闘」での賃上げ等は着実に2%のインフレ目標を達成するという強気を崩さない姿勢を見せている。しかも、目標の達成時期がずれ込んだ最大な理由は原油安であると強調されている。これは黒田氏の信念であるかもしれないが、日本経済にとってコスト・ベネフィットはどうなるのかと危惧を抱えるのは筆者一人ではないと思う。

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