Friday, June 27, 2008

中国のサイバースペースにおける言論の自由化?

中国でのインターネット利用者数は既に2.2億人を超えており、世界一のサイバー規模になった。サイバースペースを通じて中国人は、対日感情、チベット問題に伴う北京オリンピックに係わる西側の批判を絡む反発、四川大地震の救援等といった「愛国無罪」の行為を煽るようになってきた。対日関係でいえば、最近の自衛隊の訪中と日中両国の東シナ海のガス田共同開発について中国の指導者は国内のネット世論に対して気配りをしていると報道されている。

しかし、この傾向は中国「流」の民主化プロセスと評価してよいかが疑わしい。いや、むしろ、これは中国の外交政策の道具として用いられていると理解すべきであろう。

過去30年にわたって目覚しい経済成長を遂げてきた中国は国際社会における地位が高まりつつある中、関係国との協調は従来の「特殊な事情」という言い訳の効用が逓減されてきた。従って、そうした状況下で、中国の指導部は新たな手法(悪く言えば「言い訳」)、つまり、例えば、ネット世論の重視とかを用いなければならない。

ネット世論の重視は中国「流」の「言論の自由化」に対する実験であることを勿論否定することができない。しかし、他方、このような断片的な報道(とりわけ、対外関係の問題)を受けて、中国の指導部は市民の声、または市民との対話を重視するようになったと結論するのが気になってしかたがない。

毛沢東は「百花斉放百家争鳴」というスローガンを用いて政敵や右派の知識人を弾圧したという歴史を思い起こせば、ネット世論の重視とは中国指導部の謀略であるかもしれない。

1 comment:

Anonymous said...

世論に対して「選択的」に理解を示すのなら、どんな暴君にだってワンマンにだって出来ます。それで理解を示したふりができるのならこんな都合の良いことはない。