Saturday, December 27, 2008

麻生首相:センスのなさ

世界経済危機でソニーなどを代表する日本の製造業が従来の慣習から比べれば、かなり大規模な人員削減を行っている。こうした情勢の中で、26日の総務省発表によれば、11月の失業率は3.9%に悪化した。さらに同日に厚生労働省は有効求人倍率が0.76に低下したと発表した。この二つの指標から日本経済は既に不況に入ったと言って良い。外需依存から離脱できない日本の経済が少なくとも向こう12〜18ヶ月に亘って景気循環が好転することが期待できず、専門家の指摘を待たなくても、今後は雇用失業情勢がさらに悪化することが明らかである。

こうした深刻な状況の中で、麻生首相は19日に渋谷のハローワークを突然に訪れ、求職の相談を求めてきた若者に対して、「やりたいことを絞り込まないといけない。かっこいい方は給料が安くて、しんどい仕事が実入りはでかい」とアドバイスしたようである(読売新聞、12月20日朝刊、p.4)。これは一見素晴らしいアドバイスのように見受けられるが、実は全く的を外れていると言わざるを得ない。求職する人々にとっては「かっこいい仕事とか、しんどい仕事とか、給料が高い仕事とか」が選べないのは今日本経済の厳しい現実である。彼らはとにかく仕事があれば飛び込みたいと簡単に想像できるはず。

どうも麻生総理の常識は世の中の非常識になっていると思って仕方がない。こんなに庶民レベルの実態を把握するセンスを持っていない政治家を国のリーダーとして選んだのは誰の責任だろう。答えは明らかである、自民党だ。

声がかけられた若者は「やりたいことは総理の秘書官ですとか、自民党の職員だとか」のように敢えて答えてくれれば、麻生首相はどう反応しただろう。実に惜しかった。

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