Tuesday, April 08, 2008

既得権益:日銀人事

福田総理は4月8日に石川方明日銀副総裁(総裁代行)と渡辺博史前財務官(一橋大学教授)の二人をそれぞれ総裁と副総裁候補として衆参両議院に提示した。国会のねじれによって政府が旧大蔵省・財務省のOB候補は拒否され続けている。3月18日のブログに書いたように、この同意人事を巡って、昨年の参議院選挙後に明らかになったにもかかわらず、政府・与党はその対応をしていなかった。むしろ、政府・与党は自らの怠慢を感じず、そしてマスコミを抱き込んで、「日銀の独立性を尊重し、政治の人事決定を介入してはならないと主張し、その無責任を野党側に押し付けている。

この事態を冷静に考えると、なぜ、政府・与党は旧大蔵省・財務省のOBから総裁と副総裁を任命したいかというと、これまでの慣習に拘っているからである。つまり、政治家と官僚の間に既得権益を守ることである。それに関してマスコミの正しい対応は政府・与党の既得権益の固執が如何に不健全かを訴えることであるが、残念ながらその役割が果たしていない。

また、約1億2000万人の中から、旧大蔵省・財務省のOBに頼らず、日銀総裁および副総裁の要職に相応しい人材を選ぶことが困難なことではないだろう。このように考えれば、野党(特に民主党)の対応は決して無責任ではなく、むしろ彼らは国民に託された参議院における優位性を十二分に活かし、政府・与党と官僚の間の既得権益を排除することに貢献していると言って良い。それは政治なのである。

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