Tuesday, April 21, 2015

東京大学月次物価指数とデフレ脱却

黒田東彦日銀総裁は4月19日に米国メネソダ経済クラブにて講演を行った。黒田総裁は前年比の消費者物価上昇率(CPI)が0%に落ちたが、基本的に2%のインフレ目標に向かって上昇していく傾向にあると主張した。今後企業側が20年ぶりに実施する賃上げ(ベースアップ)はデフレ経済の終焉が近づく兆しであると強調した(黒田東彦講演原文)。

黒田総裁は自らの2013年4月に実施してきた異次元の金融緩和(量的・質的金融緩和)に対して楽観的である。2%のCPI上昇率は持続的に維持できない現状の動向が2015年度内に果たしてデフレ脱却が実現できるのかについて懸念されている。2015年1月〜3月現在の東京大学月次物価指数はそれぞれ、-0.39%、-0,48%、-0.19%(対前年同月比)であったのに対して、総務省のCPIは2015年1月では+0.49(対前年同月比)、2月では+0.44%であった。

そうした実態の中で、東京大学月次物価指数を構築した渡辺努教授は5月号の『文芸春秋』に「東大指数でわかった デフレ退治は進んでいない」というエッセイを寄せた。当エッセイによれば、日本経済のデフレは決して黒田総裁が主張している基調的な脱却状態にないようである。

黒田東彦総裁殿、「オオカミ少年」にならないように。。。。

Monday, April 20, 2015

AIIB:日米の執着を捨ててほしい

4月16日〜17日にワシントンで開催されたG20の財務大臣・中央銀行総裁会議にIMFの改革に関して米国政府は議会の批准が得られそうにない状況下で、G20の議題以外でAIIBの創立に関して中国をはじめ加盟を表明した国々が盛り上がったようである。

日米両国の財務省は依然としてAIIBは「国際スタンダード」のガバナンスや案件審査基準の透明性等を確保するよう再度牽制した。日米両国はAIIBのガバナンスや透明性に疑問を投げかけるのはやはり中国のイニシアチブによって国際金融秩序における主導権が脅かしていると警戒しているからである。

米国主導の「国際スタンダード」(日本も誠実に就いている)は中国や新興経済諸国の台頭と共に変わってきた国際経済のダイナミズムにとって必ずしもベストプラティスではなくなりつつある。G20のうち、G7を除く関係国は変貌した国際経済に相応しいベストプラティス、つまり既存の国際スタンダードの改善を求め続けてきたが、米国の硬直な態度で国際金融アーキテクチャーの再構築が進まない状況である。

以前も主張した通り、日米両国はAIIBがアジアの発展に役に立たせるために、加盟国として「内部」からベストプラティスの確立に関する関与やノーハウ・経験を共有すべきである。中国のリーダーシップを認めたくないが故に、ステレオタイプ的に「国際スタンダード」を言い訳にすべきではない。

実に既存の「国際スタンダード」に変わりうるベストプラティスがAIIBによって確立する可能性を否めい。なぜならば、絶えずオルタナティ・ブプラティスを追求すれば、より良い「国際スタンダード」(または国際的ベストプラティス)の確立に寄与するからである。イグナーツ・ゼンメルワィスというハンガリー人の医師が19世紀の半ばに手洗いによって産じょく熱を防止できる方法の普及はまさに伝統的なプラティスを覆した実例のように、中国主導のAIIBは新しい「国際的ベストプラティス」を確立してほしい。日米両国は執着を捨ててAIIBへ加盟することが望ましい。

Sunday, April 19, 2015

電発再稼動を待った:拍手

筆者は原発反対派である。安部自民党政権は2013年から稼働が止まっている原発施設の再稼働を急がせている。原発反対派は2018年まで衆議院では292議席、参議院では115議席を支配する自民党は原発の再稼動をもはや政治的プロセスで止めることができない状況にいる。

414日に福井地方裁判所が関西電力が再稼働を行う予定であった高浜原発34号機の運転を差止する仮処分の命令を下した。原発反対派にとって朗報であり、今後も司法の判断は政治や行政からの原発推進に歯止めをかける期待となろう。その判決に拍手しよう。

福島原発事故以来、日本国内で原発の使用について賛否が分かれている中で、安倍政権は電力コストや温暖化防止等で原発は効率的なエネルギー源であると主張し、福島原発事故のような事故を再発させないために、原子力規制委員会によって従来より厳格な規制基準をもとに原発の安全確保に関わる基準の審査を通じて原発の再稼動を目指してきた。

原子力利用の安全確保に関わる新基準・規制の審査は中立かつ専門家の知見に基づいて行われている。しかしながら、電子力規制委員会という専門家集団は原発は「絶対安全」であると判断することが極めて困難である。むしろ、「絶対安全」というのは100%の意味ではなく、限りなくそれに近い確率で判断せざるを得ない。

統計学的な観点から解説すれば、歴史的な事実や科学的シミューレションの結果から原発事故が発生する」という帰無仮説を棄却し、「原発事故が発生しない」という対立仮説を採択する例えになるのである。それはしばしば第1種過誤(タイプ1エラー)の判断に陥る。いうまでなく、原発事故という事象を確率的な実験として行うことができないので、「原発事故が発生しない」という帰無仮説が5%とか、1%0.1%とかの有意水準を確認することができないのである。

民主主義の社会では、原発利用は政治的プロセスによって合意形成される。その推進派となる政治家は原発に関する利用およびその利用が絶対安全であることを確保するための基準設定と審査に専門家集団という行政的な判断に委ね、その決定に原発利用の事業者に法的な義務を課した上で、当該事業者は推進派の政治家と共に原発施設を置く立地の地方自治体と当該住民の合意を取り付ける。このプロセスは民主的な手続きを踏まえているに違いないが、原発施設等を置く地域における反対者や万一原発事故が起きた場合に影響を及ぼす立地以外の地域における反対派(政治家と住民を含む)にとって政治的なプロセスにおいて阻止することができない。これは正に原発利用の反対派にとって術がない現実である。

原発事故は自然災害や人為ミスによって引き起こされることが自明であるのに、政治、行政、事業者、そして住民の一部が「絶対安全」や「科学技術万能論」という原理主義的な判断を委ねているのは危険が孕む。また、いわゆる確率的に100%の「絶対安全」を確保できない状況の中でも、0.000000001%(つまり、限りなくゼロ%)の確率で事故が起きた場合にカタストロフィの結果をもたらすことがあり得る。そのような可能性を排除するために、今回の福井地裁の判決は民主主義のプロセスに的を射るのである(福井地裁判決全文)。

当判決に対して原発利用の賛成派から同様に論理的に反論し、しかも原発が完全に止めたら、国民が高い電力コストを負担せねばならないと声高に叫ぶ。原発の廃棄物処理とそれの安全確保に関わるコストを計算に入れれば、原発の電力は決して安くない。それを除けば、短期的にそうなるのは確実である。しかし、国民は原発に誘惑されずに、敢えて省エネルギー行動で、将来よりコストが見合う代替エネルギーの出現を期待すれば良い。国民が省エネルギーの行動に転換すれば原発利用に代わる最も良い対策である。政治家は原発利用の少数なあ利益団体のためではなく、国民の安全かつ原発の代替エネルギーを確実に生成させる技術開発の推進に努めるべきである。

Wednesday, April 15, 2015

Professor Stiglitz's View on AIIB

Professor Stiglitz applauds those Western countries that have decided to join AIIB as founding members. Read his article: "Asia's Multilateralism."

Saturday, April 04, 2015

Thailand, but not Malaysia, why?

On 3 April, Japan Times reported that "US leads criticism of Thai junta marshall law replacement."

Malaysian government has relentlessly use the sedition law to arrest the opposition politicians, human rights activists in order to keep their grips on political power. Why the US government is not voicing its concerns to Malaysian government regarding human rights, civil liberty, rule by laws? Maybe because BO and NR have become golf buddies....

Friday, April 03, 2015

AIIB: China's Responsible Engagement in Economic Development in Asia

The US has decided not to become a founding member of the Asian Infrastructure Investment Bank (AIIB). AIIB will be a new multilateral financial institution that aims to provide long term resources to finance infrastructure development in Asia. Mr. Jack Lew, US Treasury Secretary says that the AIIB will not achieve a governance and lending practices that are of the highest global standards. It is quite obvious that the US has a fundamental belief which is only under her leadership that a multilateral institution (financial or others) could live up to the highest global standard of governance. Japanese government obediently shares similar belief with the US. However, the UK, one of the US closest allies, has decided to participate in establishing AIIB as a founding member. This decision has made the US unhappy. UK's decision indeed should be applauded for it has triggered other G7/OECD countries to sign up for AIIB. Presumably, many of them would had initially wanted to participate but they were afraid to be rebuffed by their big brother--the US.

Mr. Martin Wolf, the Chief Economics commentator at the Financial Times, in his regular column on 25 March, says that the US does not want the AIIB to be the first multilateral institution to challenge her dominant role in international economic landscape (Martin Wolf. "It is folly to rebuff China's bank"). Undoubtedly, this is the truth about the US refusal to join as a founding member of AIIB.

China is the second largest economy and she still has a relatively huge potential to achieve a higher growth rate than any country is indisputable. Thus, for a better or for a worse, the US and other advanced countries would have to accommodate that rise of China which is inevitable but it is beneficial for the international community with mutually constructive engagements.

Thursday, April 02, 2015

日本のAIIB参加見送り:間違った政治判断

 日本政府はアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を見送った。この決断は3月23日のブログで論じたように、AIIBのガバナンス体制や投資案件の審査基準が明確でないためにである。さらに米国はIMFや世界銀行、そしてアジア開発銀行(ADB)などの地域国際金融機関の主導と対峙する懸念があり、AIIBの参加を見送ったため、兄貴の意向を逆らえないというウラ事情もあったのだろう。

 3月31日に51カ国・地域が創設メンバーとして参加を表明した。G8のうち、日本、米国、カナダを除いで5カ国、先進国クラブであるOECDの34か加盟国のうち、半分以上の国々がAIIBの創設メンバーとしての参加を表明した。多国間の金融機関となるAIIBは中国の主導によって創設されたが、当国の独占は考えにくい。

 日本政府(より正確に言えば、財務省の役人)の主張しているガバナンスや審査基準の不透明である懸念は決して問題に当たらない。なぜなら、AIIBの創設メンバーの中に先進国や新興経済諸国が多数に参加されているので、当該組織のガバナンスや案件の審査基準などは国際スタンダードにならざるを得ない。また、これらの国々はこれまで国際金融機関との関わりで蓄積した経験やノウハウも生かされていくと期待することができよう。そうしてみると、日本政府の懸念は実に心配不要である。むしろ、日本は表明した国々と一緒にAIIBを立派な国際金融機関を育て、さらにはIMF、世界銀行、ADB等の国際金融機関と補完的な役割を演じられるように誘導していく役割を演じてほしい。日本は「名を捨てて実を取るべき」である。


Wednesday, March 25, 2015

Weak Yen and Strong Dollar: Mutually Exclusive

Mr. Haruhiko Kuroda have been asserting that weak Yen is good for Japanese economy. However, Professor Paul Krugman argues that strong Dollar is the weakness of the US economy in his weekly column in the New York Times--Strength is Weakness (13 March 2015). Weak Yen means strong Dollar and vice versa. These two currencies are mutually exclusive, so who is correct? That is the $1 or ¥120 question..........

Professor Paul Krugman's article: http://www.nytimes.com/2015/03/13/opinion/paul-krugman-strength-is-weakness.html


Tuesday, March 24, 2015

国際援助・協力の新展開:ワシントン・コンセンサス対北京コンセンサス

 1945年以降、世界経済の安定的な発展を支えてきた政府間金融機関である国際復興開発銀行(IBRD、通称世界銀行)、国際通貨基金(IMF)、ならびに地域ベースの発展を促進するアジア開発銀行(ADB)やアフリカ開発銀行(AfDB)、そして冷戦後の旧社会主義国であった東欧、中央、旧ソ連地域の体制転換を支援するヨーロパ復興開発銀行(EBRD)等は米国が主導に 西ヨーロッパと日本の協力を得て運営されてきた。これらの多国間金融機関の融資条件や審査基準は先進諸国のスタンダードで行われ、融資対象国は課されるコンディションナリデイに従わなければ、支援を受けることができなかったのである。

 1980代後半にJohn Williamsonという経済学者がラ米諸国は債務危機の救済に米国の国務省や財務省をはじめ多国間金融機関から融資を受けるために新古典派経済学パラダイムに沿って財政規律、貿易の自由化、民営化、為替レートの自由化や規制緩和等の10 分野の経済改革や構造調整を行わければならないと指摘し、またそれらの改革はワシントンの 有識者(政治家、官僚や政策立案者、国際金融機関の代表や研究者等)の間に共通した認識、つまりコンセンサスであると主張した。John Williamsonの主張は米国の政府および多国間金融機関の支援を受けるために、被援助国が「ワシントン・コンセンサス」が定めた改革パッケージを実施することが条件またはコンディションナリディの一部となったのである。

 ところで、中国は経済規模およびその影響力が高まるにつれ、70年前に米国主導の国際協力体制に対して代替する政府間組織の創設を提案してきた。AIIB創設の前にブラジル、ロシア、インド南アフリカと組んで、1,000億ドルの資本金および1,000億ドルの共通外貨準備高の保有をもつBRICS開発銀行(「新開発銀行」と称されている)を創設した。さらに、中国は400億ドルを投じて「シルクロード基金」を創設し、その目的は中国と中央アジア諸国を繋ぐシルク・ロード、および中国とアフリカを繋ぐ海洋の通商ルートの経済圏の発展を支えるインフラ整備を支援することである。

 中国の積極的に国際経済協力や資金援助を実施していく中で、「ワシントン・コンセンサス」と対照に、自らの発展経験に基づいて「政府主導の開発主義 」、「被援助国の国情に対する尊重」、「援助国からの条件付きの拒否」等のあり方で資金援助を受けなければならないと主張している。これらはいわゆる「北京コンセンサス」である。中国は北京コンセンサスで新たな国際援助・協力の理念を掲げ、これまで米国が主導したワシントン・コンセンサスのコンディションナリディーの押し付けを払拭しようとしている。


Monday, March 23, 2015

アジアインフラ投資銀行

 中国の主導にアジア諸国の経済発展に欠かせない経済インフラを整備するために融資する政府間金融機関となる「アジアインフラ投資銀行(Asia Infrastructure Investment Bank, AIIB)」が創設される。AIIBの資本金は1,000億ドル(約12兆円)とし、中国は500億ドルの出資を確約しており、最大な株主になるよう目指している。
 欧米日の先進諸国は中国の政治的思惑等を理由にAIIBへの加盟を慎重な態度を取ってきたが、英国を始め、ドイツ、フランス、イタリア、ルクセンブルクとスイスは創設メンバーとして参加すると表明した。さらに、オーストラリアが加盟したく、閣僚の承認をまっていると報じられている一方、中国は韓国に対して加盟を促しているようである。
 3月22日現在、創設メンバーとして参加する国は以下の33か国である。
  • 東北アジア: 中国、モンゴル。
  • アセアン10か国: ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム。
  • 南アジア: バングラデシュ、インド、モルディブ、ネパール、スリランカ、パキスタン。
  • 中央アジア: カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタン。
  • 中近東: ヨルダン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア。
  • ヨーロッパ: フランス、ドイツ、イタリア、ルクセンブルク、スイス、英国。
  • オセアニア: ニュージーランド
 残念ながら、日本は米国と同じく、AIIBと距離を置いている。麻生蔵相や菅官房長官は揃って慎重に検討したいと発言している。日本政府の消極さは「AIIBのガバナンス、中でも審査基準の透明性や環境に配慮した融資実施の条件が十分に整っていない」という理由にあるようである。日本にとっての外交や国際経済の相互依存の観点からAIIBヘの参加を躊躇するのは不可解である。中国の主導でAIIBのガバナンスに不透明なものになると懸念しているならば、創設メンバーになって国際レベルのガバナンス体制の確立に手を差し伸べ、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)の経験やノーハウの蓄積をAIIBに移転し、当機関の融資案件の形成や審査能力の強化に貢献すべきである、と素直に考える。
 ADBの推計によれば、2010-2020の期間中にアジア地域は約8兆ドル(約960兆円)のインフラ投資の資金が必要としている。この規模の資金調達は容易ではないことが言うまでもない。また、他方、アジア諸国は輸出によって貯めている外貨準備高は約7兆ドルがある。それらの資金は現に決して効率的に運用されておらず、むしろ米国をはじめ先進諸国の国債に投資し、つまり借金しているだけである。
 AIIBは既存の政府間金融機関と補完的な役割を演じるのみならず、アジア諸国の資本で域外諸国の資金を呼び込んで、アジアの長期的経済発展に寄与するのはミッションである。こうした観点からでも、日本は米国の意向ではなく、自らの国益の増大に繋がるAIIBの創設に参加すべきである。

Bangkok Skytrain

A few snapshots of Bangkok Skytrain--Sukhumvit Line.

Thursday, March 19, 2015

中国7%GDP成長目標

李克強首相は2015年のGDP成長率目標を7%に掲げた。日本のメディアはこの目標が中国景気の失速をもたらし、世界経済の最大な懸念 材料であると指摘している。中国のGDPは約1,200兆円であり、7%の成長率は84兆円の増加を意味し、それが日本のGDPの16.8%に相当する(500兆円とした場合)。つまり、中国経済規模が大きいから7%の伸びは、アメリカを除いて他の先進国や新興経済諸国のGDP規模にすれば、かなり大きな割合である。したがって、世界経済の懸念材料よりも、むしろそれが確実に実現すれば、多くの国が恩恵を受けると認識すべきであると思う。

Dr. Vanthana Nolintha

Vanthana Nolintha was conferred a Ph.D. in Economics by the Graduate School of Economics and Business Administration, Reitaku University on 14 March 2015. His doctorate research work was supported by Japan Society for the Promotion of Science, Ronpaku (Dissertation Ph.D.) Program from 2012-14. His thesis title is "The Effects of FDI on Economic Growth and Inequality in Laos."

Congratulation, Dr. Vanthana Nolintha


Friday, March 06, 2015

中国国防予算

 中国の2015年の国防予算は前年と比べて10.1%増加し、約16兆8,500億円の規模となった。その規模は5年連続で2桁の伸びであり、GDP(約1200兆円)比の約1.4%に相当する。日本や近隣諸国、そしてアメリカは中国の国防費の増大が脅威的であると指摘している。より重大なことは国防と直接に関連する様々な予算(国防関連の開発関連予算)が含まれていない側面が多々あり、その不透明性で国際社会が縣念している。

 中国の国防予算額はアメリカに次ぐ世界2位となったが、絶対額やGDP比の何れもアメリカと肩並ぶのはまだかなり時間が要する。アメリカの国防予算は約6,100億ドル(約72.5兆円)、GDP比は約4.3%である。中国の国防予算額はアメリカの四分の一程度である。それに対して、日本の防衛予算額はGDP1%、約5兆円であり、 中国の三分の一である。

 中国は明らかに日本の尖閣諸島や南シナ海の島嶼・海域の領有権をめぐって海空両軍を強化すると同時に、アメリカの軍事力と対峙できるために軍装備の近代化等を図っている。いずれも、日本と東南アジア関係国にとって由々しき事態である。
 

Thursday, March 05, 2015

企業の政治献金

 安倍首相や岡田民主党代表など与野党の政治家は国の補助金を受けている企業から寄付金をもらっているのを明るみになった。もらっている方は「政治資金規制法の規定」が曖昧から禁止の判明ができないと主張し、よって 本意ではないと説明し、寄付金を返却してお詫びして済ました。有権者によって選ばれた公職 にある者は言い訳したり、開き直ったりする行為をしていけない。

 素直に考えれば、補助金交付決定を受けている企業は何千社がある訳でもなく、あるいはあったとしても、リストを作るのは困難な作業ではない。各省庁が補助金交付決定の対象企業に対して企業名、交付決定日、交付金額、交付の内容(利益を伴うか否か)などのリストを公開すれば、国会や地方議会の議員が寄付したい企業の金は白か黒を判明できるのではないかと思う。

 簡単なフィタリング作業であるにもかかわるず、法律が曖昧だから禁止の対象かを判明できなかったりといい抜てはいけない。もっと言えば、判明しかねない企業の寄付金を一切断れば良いという自制の行動をとれば良いのである。
 

Thursday, April 24, 2014

ODAの開発会社への出資に対する異議

4月22日の日経新聞の夕刊に「国際開発協力機構(JICA)は5月にもミャンマー初の近代的工業団地「ティラワ工業団地」の開発会社に10%程度を出資する。開発会社の株主である日本の商社から株式を取得するなどして5億円前後を投じる」と報じている。このような援助資金の拠出に関して疑問を持つ。

ODA(政府開発援助)とは、「政府または政府の実施機関によって開発途上国または国際機関に供与されるもので、開発途上国の経済・社会の発展や福祉の工場に役立つために行う資金・技術提供による公的資金を用いた協力のこと」である(http://www.mofa.go.jp/
mofaj/gaiko/oda/about/oda/oda.html)。これは通常工業団地の整備を通じて工業化を図ることによって雇用・所得の誘発や対外貿易の強化に寄与すると関連する。

ミャンマーのティラワ工業団地について既に2013年に日本政府は200億円の円借款で400ヘクタール分の工業団地を支える基礎インフラである発電所、工業用水、港湾等の整備を支援することを決定した。経済発展レベルが低いため、ミャンマー政府は基礎インフラの整備にあたって民間資金の調達が極めて困難のため、日本のODAを求めるほかない。しかしながら、直接な受益者となる日本企業に対してなぜODAを用いて当該工業団地の開発会社に出資している日本企業から株を取得する必要があるのかに理解を苦しむ。

まず、利益を追求する民間企業は自らリスクを取るべきであり、国民の税金からなるODAがそのリスクの一部を負担すべきではない。国はそのようなリスクの一部を負担すれば、民間企業のただ乗りを助長し、ビジネス展開の判断における慎重さの欠如をもたらす。

次に、ミャンマーにおいて絶対貧困者が多く、彼らは衣食住や医療衛生等のベシク・ヒュマン・ニーズが満たされていないので、開発公社の株式取得に当たる5億円をそれに充当されることがODAの本来の狙いである。

最後に、財政赤字を削減する手立てがない一方、高齢者への社会保障給付が増加する一方の中で、限られているODAを効果的に使用することを考えないJICAは果たして必要なのか。ベシク・ヒュマン・ニーズすら満たされていないミャンマー人を助けないならば、無用なODA支出を削減し、財政赤字の削減に貢献した方が良い。

Wednesday, March 05, 2014

Who is Right? Mr. Abe or The NYT

The New York Times' Editorial on 2 March: "Mr. Abe's Dangerous Revisionism."
http://www.nytimes.com/2014/03/03/opinion/mr-abes-dangerous-revisionism.html?ref=editorials&_r=0

This editorial is a clear indication of how the US--the closest ally of Japan--is scrutinizing Mr. Abe Shinzo's political orientation, which might become a liability to the US.

In response to the NYT's Editorial, Japanese government protested furiously,
http://www.globalpost.com/dispatch/news/kyodo-news-international/140304/japan-protests-new-york-times-editorial-abe

Who is right? 

According to a Japanese news web media, Mr. Abe Shinzo supported a claim by Mr. Takashi Kawamura, the Mayor of Nagoya City, that "that not was probably no such so called Nanjing Incident (literally translated from Japanese)."
http://news4dom.blog.fc2.com/blog-entry-613.html(in Japanese)

Thursday, February 06, 2014

Abe's Active Pacifism

Quote from Bloomberg:

"Prime Minister Shinzo Abe, pressed by China and seeking to strengthen ties with the U.S., is considering Japan’s biggest change in military engagement rules since World War II."


Nationalist PM Abe wants to transform peace loving and war-renouncing Japan to a peace making country that has a strong military capability--which he defines it as the Active Pacifism. Will Abe's self-fulfilling prophecy leads to a higher level of peace and stability in East Asia? Or, it will create more tensions?


Wednesday, February 05, 2014

Another act from "FOA"

Quote from BBC: "NHK governor denies Nanjing massacre

A governor of Japan's public broadcaster, NHK, denies the Nanjing massacre took place, days after a row over Tokyo's use of sex slaves engulfed the new NHK chief."

Read more:
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-26029614

Oxford dictionary explains that massacre is "an indiscriminate and brutal slaughter of many people."

It is not an issue about how many were killed in nanjing, the point is even 30 people were killed instead of 300,000 as being claimed by the chinese, it was a massacre, period.

The assertions--of refuting nanjing massacre or of dusputing the number of people killed--by japanese public figures are truly absurd.

Voltaire said: "those who can make you believe absurdities can make you commit atrocities." Will the present and future generations of Japanese intelligentsia repeat history??

The "FOA" (freaks of Abe) looks like going down to that path.....They must be stopped...

Saturday, February 01, 2014

Friday, January 31, 2014

BBC: "What Japanese history lessons leave out" by Mariko Oi

Here is an explanation of why there are many Japanese people who do not understand the country's war atrocities.

http://www.bbc.co.uk/news/magazine-21226068

Voltaire was certainly right: "To the living we owe respect, but to the dead we owe only the truth."

Thursday, January 30, 2014

An Example of the Mis-use of Official Development Assistance (ODA)?

http://asia.nikkei.com/Politics-Economy/Policy-Politics/Japan-opens-wallet-to-push-smart-cards-for-Asian-mass-transit

Does ODA project fit into economic welfare enhancement of Vietnam? Japan International Cooperation Agency (JICA) is throwing the Japanese tax payers money to Japanese and Vietnamese companies who should have undertaken the project on the basis of market principles?

Why should the Japanese tax payers support companies like Sony, NTT Data and Dai Nippon Printing in starting their businesses in Vietnam? They suppose to be risk takers if not risk neutral, but JICA has helped them to avoid business risks in Vietnam because even if the project does not succeed, after all that investment is Japanese tax payers' money!!!


Monday, January 27, 2014

BBC: "NHK boss sparks 'comfort women' row"

The new chairman of NHK--a public broadcaster equivalent to BBC, Mr. Katsuto Momii said, "such [comfort] women could be found in any nation that was at war, including France and Germany." Mr. Momii is a FOA (Freaks of Abe), and no wonder he made a stupid statement to cover Mr. Abe.

BBC reports that: 

The head of Japanese broadcaster NHK causes controversy by playing down the use of sex slaves - so-called "comfort women" - in World War Two.
Read more:
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-25901572

NHK operates under Japan's Broadcast Law, which ensure that NHK's operations are supported by fees receive from every household and business operator with a TV set.
NHK's official statement says that:
"The receiving fee system ensures NHK’s financial independence, which guarantees NHK’s editorial independence and impartiality.
The duty of a public broadcaster is to deliver impartial, high-quality programs. Programs should never be influenced by the government or a private organization. A wide range of programs and a balanced programming should be also provided, with no influence imposed by ratings or the interests of a third party."
Mr. Momii's statement has disgraced NHK's independence and impartiality as a public broadcaster. That statement is unwarranted, intolerable and inexcusable. He ought to make a sincere public apology and resign immediately. Enough of "FOA" nonsense.

Wednesday, August 28, 2013

「地球儀俯瞰外交」

安倍首相は8月24日~29日の期間中に、バレーン、クウェート、ジブチとカタールの4カ国を訪れ、「地球儀俯瞰外交」を展開している。安倍首相は2回目の首相を就任した以来もう8か月を過ぎ、その間今回の中東・アフリカ訪問を含めて計8回外国を訪問されてきた。安倍首相は月1回の海外出張であり、大手企業の社長以上のペースであると思われる。こればかりか、外務省の幹部や首相の外交アドバイザーは「地球儀俯瞰外交」と名付けている。

「俯瞰」とは、コトバンクのデジタル大辞泉によれば、「高い所から見下ろし眺めること」である。従って、「地球儀俯瞰外交」は球体にした地球を高い所から見下ろして眺め、諸外国と交際または相互関係を行う意味となる。要するに、地球儀を眺めるように、万遍なく多くの国々と相互関係を築こうという狙いである。これは安倍首相の外交方針であるならば、全く戦略が欠如していると言わざるをえない。

日本にとっての外交は、鷹が高い所から鳥瞰して見定めた餌を素早くゲットするという例えになる戦略が求められている。広くて薄い外交するよりも、狭くて厚い外交がより高い国益になると思う。普通に例えれば、一人の人間は多くの友達を持つのは良いことではあるが、すべての友達は親友になることはない。普通に付き合い、または遊びの仲間だけではなく、自分の悩みを聞き、行動を支え、信頼をしてくれる親友を多く持つことが大切である。国の外交もそうでなければならないと思う。

Monday, August 26, 2013

若者の力

日経新聞は8月19日に「若者の力を伸ばす社会をつくろう」と題する社説を掲げた。当社説は日本生産性本部が行った新入社員への意識調査の結果を引用し、日本の新しい成長の源泉力が若者にあると主張した。また、当社説はいくつかの企業例を取り上げなら、若者の潜在能力を引き出すことの重要性が経営者として認識しなければならないと力説した。確かにご最もな提言である。

既に人口が減少している日本にとっては、若者が専門性やスキールを身に付け、それを活かして夢を叶えたい。それを通じて日本の未来も明るくなるに違いないと期待する人々が多い。しかし、それだけ十分かと懸念したりする。若者は「アニマル・スピリット」が旺盛であり、彼らはリクス、責任、リーダーシップを取りやすい環境も必要である。それは従来の「縦社会」という社会規範を改めることを意味する。言い換えれば、年齢の順送りからなるヒエラルキー組織を若手リーダーと若者が中核となるフラットな組織形態に変え、それが新たな社会通念と定着させていくのは喫緊な課題である。

Saturday, August 24, 2013

女性の活躍:雑感


安倍首相が推進している女性の活躍に対して異論を唱える人は少なく、財界やメディア、そして有識者等から賛成する声が相次いだ。官庁や大企業が女性を中間管理職および役職に就かせる割合を引き上げようと積極的に取り組みたいと報道されている。大合唱の中で、職場で女性の活躍を着実に増加させるために、官邸をはじめ、上場企業、メディア等は女性職員および役員のそれぞれの数・割合を開示することを義務化すれば良いと思う。また、このディスクロージャーは紛れなく、女性の活躍の実態を測る最も良い物差しである。

Sunday, December 16, 2012

16 December 2012: General Election in Japan

Today is the 25th General election in Japan (since 1945). There are more than 12 political parties competing to govern Japan in next four years. Public opinion polls show that Liberal Democratic Party (LDP) is likely to win a simple majority in this lower house election.

A spectrum of policy choices manifested by each political party include revitalizing the economy, for or against the use of nuclear energy, pro or anti Trans-Pacific Partnership (a free trade agreement among 12 countries) negotiation, amendment of constitution, reform in education and others. Thus, unlike the previous election when the electorate's choice was clear: LDP or the Democratic Party of Japan (DPJ). In this general election, the voters would have to choose which political party offers the most effective and realistic policies that could be the best for the country in the next four years.

Regardless of the outcome, it is likely that Japanese will not remember the names of political parties listed below that compete for their votes.

The Democratic Party of Japan
The Liberal Democratic Party of Japan
New Komeito
Japanese Communist Party
Social Democratic Party
Tomorrow Party of Japan
Your Party
Japan Restoration Party
People's Party
New Party Daichi-Shinminshu
New Party Nippon
New Renaissance Party
Green Wind
People's Life First
The Sunrise Party
The Sunrise Party of Japan
Tax Cut Japan
Kizuna Party

Thursday, November 08, 2012

Myanmar: FDI

Here is my second op-ed on Myanmar in the Myanmar Times, 29 October 2012.

"Foreign Direct Investment: Clearing the Infrastructure Bottlenecks."

Tuesday, October 30, 2012

My Article in Myanmar Times

Here is the link to my article on Myanmar, jointly written with Professor Tan Kim Song of Singapore Management University, published in Myanmar Times on 24 September 2012.

http://www.mmtimes.com/index.php/in-depth/1772-economy-can-be-game-changer-for-region.html

Friday, September 28, 2012

自民党総裁選結果:雑感

安倍晋三氏は石破氏を敗り、自民党総裁に返り咲いて再び総理大臣になる可能性が出てきた。総裁投票選の第1回投票では石破氏は安倍氏より約2倍の党員票を獲得したが、国会議員のみ投票権をもつ決戦投票の結果逆転負けとなった。このような「民主的」総裁選は果たして良かったのか些か疑問を感じる。政党に属する国会議員は党員の支持を受けているのに、決戦投票において党員の意向が反映されていなかったのである。乱暴な例えではあるが、会社の株主が望ましいと思う役員を社長にしようとして、取締役会のメンバーは株主の意向を汲み入れようとせず、一度会社の経営を任期途中で投げ出した社長を再び選んだと同じこと。「美しい国、日本」よりも、「醜い国、日本」と思われても仕方があるまい。

Friday, August 31, 2012

Hari Merdeka

31 August 2012 marks the 55th Independence Day of Malaysia (Hari Merdeka). Since gaining independence from the British colonial rule in 1957, Malaysia's economy has grown from low income to upper middle income level.

According to the World Bank, GDP per capita has grown from USD299 in 1960 to USD9,686 in 2011, an annual growth rate of about 7% in the last five decades. It is indeed an impressive performance, but Malaysia could have done even better. Singapore, the closest competitor,  has shown a much better growth performance which has an annual growth rate of  9.8% over the same period. Singapore's GDP per capita is USD46,241 in 2011, which is 4.7 times more than a Malaysian. Also, Singapore ranks 19th in the World Bank's list, which is higher than Japan.

It does not require a nobel laureate in economics to explain the underlying reason for the performance gap between Malaysia and Singapore. The leaders have the answer but unfortunately they are not willing to deliver it. Even worst, a major press media Star which serves as the fourth branch government in Malaysia opines that Malaysians should satisfy with the present outcome instead of complaining that government should have done more (see my posting on 22 August 2012).

While all Malaysians ought to support their government, it is also true that every Malaysia has the right to demand a leadership that would deliver a better economic performance that commensurates to the country's potential.

Saturday, August 25, 2012

「正の外部性」を通用しない?

日本の大学・大学院はグロバール経済と国内構造変化の対応に苦しんでいる。質の高い人的資源の供給とその需要となる企業の間にミスマッチが生じているようである。少子化で大学全入時代を直面している学部および専門職の人材を育成する大学院は課題が多い。後者について日経新聞に8月21日〜24日に「沈む大学院」と題する連載があった。確かに大学院の取り巻く環境が厳しい。

経済学では教育は「正の外部性」という性質があり、故に政府(文科省)は積極的に介入してゆくのは正当である。しかし、文科省主導でこの20年間に行った小中等教育と高等教育部門の改革や刷新をみれば、その成果は初期の期待値の半分以下となったのではないかと思わざるを得ない。「正の外部性」という経済学の理論は日本では適用できなかったのかと不思議に思った次第である。

100回を超えた

気が付いたら、当プログは前回で丁度100回目であった。2006年3月にスタートしたのを考えれば、真面目なブロガーではなかった。。。

Wednesday, August 22, 2012

The Press in Malaysia

I was astonished to read an opinion article in Star Online (19 August 2012) entitled "Let's be honest in assessing our in assessing our achievements." It claims that "As a people, Malaysians tend to be picky and self-deprecating to the point of overlooking our strengths as a nation."

This assertion was based on the fact that the economy has grown 5.4% in the second quarter, which is relatively high when compared with developed and other emerging economies. In addition, Star contends that Malaysians should appreciate the growth benefits instead of complaining that the government should have done more.

On the one hand, from psychological point of view, Star's opinion can be regarded as "my glass is still half full" instead of "my glass is half empty." On the other hand, Star can assert that Malaysian economy could have performed better, and Malaysians have the right or entitlement to choose a new leadership or new government that could deliver a higher growth benefits. I bet that most rakyat Malaysia are demanding the latter.

It is unfortunate that, in spite our level of development, the Star is still the fourth branch of government instead of transforming itself to become the fourth estate.

再開


ブログを再開します。

Monday, January 02, 2012

India-Japan Economic Relations

Here is my article on "India-Japan Economic Relations," written for the purpose of raising greater awareness of the current situation, constraints, and the way forward with regards to the bilateral economic relations, in conjunction with Prime Minister Yoshihiko Noda's official visit to Dehli on 28 December 2011.


Monday, December 05, 2011

Three Choices for Myanmar

At the end of her visit to Myanmar, Secretary of State Hillary Clinton indicated that IMF and the World Bank will send consultation missions to Myanmar soon for the purpose of supporting its efforts for economic reform and the promotion of economic growth. The two intergovernmental financial institutions are likely to prescribe a standard set of principles for Myanmar, viz., setting the prices right with good governance, openness and liberalization.

If these were recommended, but not being imposed as the conditinality to receiving financial assistance from the international community, Myanmar will at least has three choices to make. Namely, A: open up, B: liberalization, C: protection and regulation.

In this situation, if Myanmar chooses A, she will have limitation in dictating its own policies. If Myanmar chooses B, she will encounter fierce competition from external market forces. If Myanmar chooses C, she will defeat her intentions for economic reform and the promotion of economic growth. Therefore, the best approach for Myanmar is to adopt a combination of A, B and C. But, the key to this approach is Myanmar's human resources capacity.

Monday, November 14, 2011

巨人球団内の乱:雑感

プロ野球にあまり関心がないので、一つの球団のガバナンス、そしてそれがその球団の運営を支えている企業の経営陣とどういう関係にあるかが必ずしも理解できないでいる。その不勉強で、いま、メディアで報道されている巨人球団内の乱について中々理解しにくいものである。

会長、オーナー、社長、球団代表、ゼネラルマネジャーという序列があり、そして、試合の勝敗と深く関わる監督、ヘッドコーチ、コーチ等の序列もある。また、巨人球団は株式会社であり、その会長はデファクトに球団を支配している読売新聞社の会長でもある。単純に整理すれば、球団の会長はその支配権を持つ企業の会長でもあるので、その人物は絶対的な権力者であるに違いない。ただ、それはその人物が絶対的に正しいとは限らない。

王子製紙やオリンパスの不祥事は実にそれぞれの企業の絶対的な権力を持つ者によってもたらされていることが明らかである。さて、ジャイアンツと読売新聞の場合はどうなるのか。

Saturday, November 12, 2011

Basil Leaves

My home grown basil leaves and self-made basil leaf pesto. Ingredients: fresh basil leaves, garlic, peanuts, sugar, salt, and olive oil.

Tuesday, November 08, 2011

Remembering Steve Job

My first encounter with Apple computers was in 1986, but have had to wait until 1991 for my first purchase--SE30. Since then I have collected a variety of Apple products. SJ's applied creativity has changed our digital lifestyles. His death is unmeasurable loss to all.

Wednesday, November 02, 2011

Why EU Rescue Plan Will Not Work

The EU financial rescue plan announced last Thursday (October 27) is not likely to save Greece from economic collapse or other member countries facing similar economic problems. The reason is simple. The financial support being galvanized is not for saving the countries from economic Armageddon, but it is for saving those banks who have lent money to those countries. Therefore, a better alternative is provided by Paul Krugman.

Read Paul Krugman's article in New York Times on October 27, 2011.

Friday, October 28, 2011

7 Billion of People Inhibit Our Earth

The United Nations Population Fund (UNFPA) launched its flagship report, State of the World Population: People and Possibilities in a World of 7 Billion.

On October 31, 2011, 7 billion people will inhibit the earth. The e-report is available at URL: http://www.unfpa.org/swp/

Thursday, October 20, 2011

中国語の詩

麗澤从師漢帝嗣、
心義軒裏解虹霓。
从此不吟相如赋,
学渉古今貫東西。

2011年10月3日ラウ研究室にて博士課程の呂文亮君より贈られた。

日本語訳:

麗澤で漢帝の跡継ぎを師に就く、
それで、心義軒という書斎でこの世の謎を解いてゆく。
今後、「相如赋」など古典詩を読まないことにする、
広く古今東西のことを通じるように学術を修めていく。

Monday, October 17, 2011

Talking to Joseph Stiglitz

Introducing a new proposal on "A New Aid System For The Era of Globalisation" to Joseph Stiglitz, 2001 Nobel Laureate in Economic Sciences, at the 15th Forum 2000 Conference, on 9 October 2011 at Prague.

Tuesday, October 04, 2011

My Mini-Bonsai

Mini-Bonsai, produced by Lau Sim Yee, 2 October 2011.

Monday, October 03, 2011

2 October, 50 Years Ago

According to http://www.historyorb.com/, on 2 October 1961, there were 4 major historical events:

1) "Ben Casey" premieres on NBC-TV
2) USSR performs nuclear test at Novaya Zemlya USSR
3) WETA TV channel 26 in Washington, DC (PBS) begins broadcasting
4) WHRO TV channel 15 in Hampton-Norfolk, VA (PBS) begins broadcasting

Tuesday, September 20, 2011

日本のソフトパワー?

SMAPは16日の夜に北京で初の海外コンサートを開催し、中国ファンの駆け込みで大成功したようである。このコンサートは日中両国のメディアから高く評価され、久しぶりに両国の関係が好感をもたらしている。テレビによれば、あるファンは月給4,000元(約4万円)で、チケット代が2,000元(約2万円)でも惜しまないという。近隣諸国を旅すれば、日本のアイドルタレントはかなり人気が高いことに気が付くと思う。

日本のビジネス外交では、自動車、精密機械・機材、環境に優しい製品、新幹線や原子力発電機等のモノを外国に売り込むために専属な外交官や業界組織等がある。SMAPの北京コンサートから日本は人々の生活文化に根付きやすいソフトパワーを活かせば、新たなビジネスチャンスが生まれるのみならず、各国が日本に対する親しみさも増すに違いない。また、そういうソフトパワーの輸出は為替の変動に影響を受けないと考えられよう。

なるほど、野田総理は「ドジョウ」外交にそういう戦略を打ち出し、まずはSMAPを対中国の大使に任命することである。それは某商社の会長を経験した現役対中大使よりも日中両国の民間交流がさらに高まると思う。

Sunday, September 18, 2011

復興増税:雑感

東日本大震災が発生して半年が過ぎた。政府は震災からの復興期間が10年、その事業費を23兆円規模と決定した。その震災事業費の半分を「臨時増税」で国民が連帯して負担することになる。この「復興貢献特別所得税」に係わる増税期間は5年間とする声もあれは、復興期間と同様に10年間に、または国民の負担を軽減させるために15~20年にすべきという声も聞こえてくる。何れにせよ、震災からの復興は金がなければできないものであり、問題は金の調達に要する期間の違いである。

この増税に関して、「消費税」の増税という手段もあるが、どうもそれの受けが与野党の両陣営においても敬遠されているようである。不思議にかなり多くの政治家は「消費税」増税が政治の命が落とされることを迷信しているようである。11.2兆円の財源は5%の「消費税」に相当するものであり、一年間だけで全額を確保できるのは「経済学」の学位を持っていなくても分かるはず。それに今後基礎年金や保険料の負担増の財源を確保しなければならないことを考えれば、復興貢献を契機に「消費税」を10%に引き上げた方が合理的であろう。つまり、2012年度の消費税増税分を復興事業に、2013年以降はそれを基礎年金や保険料に充てることである。

残念ながら、多くの政治家は目先のことにしか関心がない。例えると、沸騰した湯の鍋にカエルを入れると、カエルが飛び出してしまい、逆に生温かい水を入れた鍋にカエルを入れ、沸騰するまでゆっくりと温度を上げていけば、カエルが安楽に死んでいく。今回の復興増税は正にこの比喩の通りである。国民は政治とは何かについて真剣に考えなければ、皆がカエルの例えのようになる。

Saturday, September 17, 2011

米国の戦争費用

ロンドンの『エコノミスト』によれが、ブラウン大学の試算はこの10年間米国のアフガンとイラクでの戦争が約

1)13万7千人の民間人が犠牲となった。
2)780万の人々が難民がなっと。
3)4兆ドル(約320兆円)の費用がかかった(利子や退役兵士のケア等の費用を含む)。

戦争の費用だけはインドのGDPの2倍に相当する規模である。また、年間財政赤字が約1.4兆ドル(112兆円)であると言われている中で、米国にとっては世界の警察を引き受けると同時に、世界中に民主主義を広めるのが安くない。

Sunday, September 11, 2011

ウサーマ・ビン・ラディンと「容疑者」の意味

10年前の今日は世界が変わったと良く言われており、米同時テロから10年になります。その多発テロの首謀者とされるウサーマ・ビン・ラディンはさる5月に米国の特集部隊によって殺害されたが、世界最強の国でる米国はアルカイダとの戦いが未だに続いている。米国や多くの国々はウサーマ・ビン・タディンを「9・11」の首謀者と断定しているのに対して、日本のマスコミは未だに彼を容疑者と扱っている。それに対して異和感があって仕方がない。

「はてなキーワード」によれば「容疑者」とは、マスコミ用語として犯罪の容疑を受けている者を言い、法律用語では被疑者と同様な意味である。こうした扱いが正しければ、米国はウサーマ・ビン・タディン容疑者を法的に裁かないまま殺害したことになる。他方、米国にとっては死亡者は約3,000人、負傷者が約6,300人からウサーマ・ビン・ラディンを同時多発テロの首謀者とし、法的な適法手続きを経なくても、一見して殺す(kill at first sight)に値するとしていた。それが米国の言う正義であろう。

こうして見れば、日本のマスコミは如何なる意で「容疑者」という表現を用いているのか。単に法的な判定がない限り、ウサーマ・ビン・タディンはあくまでも推定無罪であるという立場を示しているのか。そうだとすれば、米同時テロの被害者はどう思うのであろうか。

Friday, September 02, 2011

首相の迷言?

2011 野田佳彦   「ドジョウ」
2010 管直人    「。。。目途に」
2009 鳩山由紀夫  「トラストミー」
2008 麻生太郎   「未曾有(みぞうゆう)」
2007 福田康夫   「。。。あなたと違うんです!」
2006 安倍晋三   「美しい国」

Tuesday, May 31, 2011

共同誕生日会:提案

5月24日は渡辺恒三氏と小沢一郎氏の誕生日で、都内で4年ぶりに共同誕生日会を開催した。この共同誕生日会に160名の国会議員も参加したようである。偶然にも母はお二人と同じ誕生日である。

来年、是非母も入れて「日本とマレーシアのシルバー交流」をテーマに共同誕生日を開きたい。

Monday, May 09, 2011

世界人口70億人

国連は2011年10月末に 世界人口は70億人に達し、2100年に世界人口は101億人となる予測を発表した。再生不可能な鉱物資源、再生可能な天然資源、食糧、水等で地球は果たして100億以上の人口を保有することが可能だろうかという悲観的な懸念もあれば、人類の知恵を活かし、一層に科学技術を進歩させて人口の増大は問題にならないという楽観的な見方もあろう。

何れにせよ、他のことが変わらなければ、この地球上に1年に約6,000万人が亡くなっているのに対して、2100年までの間に1秒:1人、1分:63人、1時間:3,805人、1日:913,242、1年:3,333万人、90年:30億人が増えている ことになる。

Friday, February 25, 2011

Dr. Rajendra Kumar Pachauri

Photographed with Dr. Pachauri, Chair of the 2007's Nobel Peace Prize-winning Intergovernmental Panel on Climate Change (IPCC), at a reception in Tokyo on February 24, 2011.

Friday, August 20, 2010

管総理の選択

 民主党の小沢グループは小沢氏を党代表選に出馬するよう環境作りに励んでいる。彼らに政局を仰ぐ余裕があれば、経済再生のための政治に精力を注いでほしい。そういう政局しか関心を持たない議員達の行動を見ると、実に憤慨である。管総理もそれを同感してくれると思いたい。管総理は民主党の議員に対して一人でも党代表選に出馬するなら、党代表選の前に衆議院の解散・総選挙をちらつかせておけば、反管総理の議員達は現状維持の方がよいと思うようになる。

 国民は民主党に国の再生に託したが、鳩山前首相の優柔不断によってマニフェストに掲げている目標が大幅に乖離している他、自らの政治資金管理のいい加減さ、さらに小沢氏の政治とカネや旧態依然の政治行動等によって民主党に対する信頼は大きく揺らいだ。本来ならば、鳩山前首相は辞任にあたり、衆議院を解散して総選挙を実施することが望ましい。しかしながら、敢えて国民の信を問わないままに、菅直人は総理大臣に選ばれた。参議選で民主党は大幅に議席を失い、再び衆参両院のねじれ現象が起きている。メディアや民主党の多くの議員(とりわけ、小沢氏の子分ら)、さらに自民党は管総理が消費税の引き上げを選挙の看板にしたことを原因に国民からノーと突き付けられたと主張している。果たしてそうなのか、いやそれは一部の原因であり、鳩山氏と小沢氏に対する拒否反応ももう一つの大きな原因である。それでもなお小沢氏を党代表選に担ぎ出すのは如何なものか。

 管総理は国の政治にとってベストの選択は自らの決断で衆議院を解散し、総選挙を実施することである。それができないならば、セカンドベストの選択は民主党の議員に「カンイズム」という政治理念を実現するため、党代表選に挑戦させないよう、2年後の代表任期満了に民主党を率いて総選挙を臨むことである。

Tuesday, August 17, 2010

就職留年

 2011年3月末に約56万8000人の大学生が卒業される予定である。リーマンショック以降の世界経済不況、ならびに依然として国内の経済構造が転換できない状態に起因する有効需要の不足が続いている中で、来年の春に卒業する大学生は仕事に就かない者は約7万9000人と各メディアの集計で明らかになった。実際に大学院(修士や博士課程)の修了者をもカウントすれば、教育課程を終えて大学・大学院を出る人の数と仕事に就く目処が立たない人の数はもっと高いと思われる。実に深刻な問題である。

 そうした状況下で、文部科学省を中心に政府は就職が出来ない新卒予定者に対する支援を乗り出している。たとえば、就職留年の学生に授業料の一部を公的資金で補助したり、大学の卒業予定者の「エンポロイアビリティ(雇用可能能力)」を高めさせるため、就職活動を仲介・支援する大学のキャリアセンターに就活支援の専門家を配置する費用を補助したりする等がある。残念ながら、政府や大学側の対応策は就職率を高めさせることにあまり役に立たない。のみならず、国家財源の浪費をさえもたらしてしまう。実に、政府や大学側の支援策、あるいはこれから就職留年の対策は「エンポロイアビリティ(雇用可能能力)」を高めることにほぼ関係のないものである。その根拠は少なくとも以下の二つである。

 グローバル経済や国内の社会経済構造が既に変わっている中で、大学の教育内容は依然として供給側の論理で組み立てられている。如何に学生の素質を世の中が求められている人材に育成していくかよりも、大学の教授らが各自の研究成果は世間の実態と関係なく、学生に教え込む(または、紹介する)。さらに、大学のキャリアセンターは就職希望者に対して求人情報の提供とか、どこの企業に同大学を卒業したOB/OGを介して会社説明会に関する情報を提供する業務等のみに専念しているようである。そのプロセスに学生の能力や素質等からなる「エンポロイアビリティ(雇用可能能力)」と無関係の業務である。それは売り手側の商品の品質と無関係に買い手側に紹介して売買を成立させる例えである。

 企業は正規な従業員を多く雇えない理由は二つある。まず、有効需要が不足していること、または供給サイドが過剰であることによって雇用が増えない。もう一つの理由は新卒の初任給、そして彼らを採用した後の給与水準は限界労働生産性に合致していないことである。現に新卒の平均的な初任給は約18万~20万にあると思われ、それが企業にとって負担が高すぎる。にもかかわらず、卒業予定者はその認識を持っていない。売手と買手は非対称な認識という状態に陥っている。売手は賃金の下方硬直性という法則に固執しすぎである。初任給を大幅に(50%、8万~10万)引き避けない限り、労働力の買い手が現れない。また、政府は就職留年の授業料を補助するよりも、その財源を大幅な就任給が引き避けられた新規雇用者に対する補填に回した方が経済に取って効果的である。なぜならば、これらの新規雇用者の消費規模は就職留年者よりも大きく、有効需要の誘発に寄与することになるのである。

Monday, August 16, 2010

If David Cameron will say:

On August 10, 2010, Japanese Prime Minister Kan Naoto, like all his predecessors,apologized to South Korea for Japan's annexation of the country in August 1910. The Japanese colonial rule over South Korea lasted for 36 years, which ended in August 1945.

Similarly, with a wishful thinking, there are many people who wish to hear from the UK Prime Minister David Cameron to offering the following statement (adapted and modified from PM Kan Naoto's statement):

"This year is the 65th Anniversary of the end of the War World II in Asia and the Pacific region. Thus, this year marks a significant juncture for the United Kingdom and all its Commonwealth member countries in Asia such as Pakistan, India, Bangladesh, Sri Lanka, Myanmar, Malaysia, Singapore and others. Since our colonial rule in those countries from the mid-19th Century, people of that time were deprived of their basic rights, and their national pride was deeply scarred by the colonial rule which was imposed against their will under the colonial circumstances......................

I would like to face history with sincerity. I would like to have courage to squarely confront the facts of history and humility to accept them, as well as to be honest to reflect upon the errors of our own. Those who render pain tend to forget it while those who suffered cannot forget it easily. To the tremendous damage and sufferings that our colonial rule caused, and still continue to suffer from our colonial legacies in several of those Commonwealth countries, I express here my feelings of deep remorse and my heartfelt apology.

Guided by such understanding, ...............I will in all sincerity to undertake the assistance to many Indian, Sri Lankan, Burmese, Chinese and other ethnics, who have remained in another Commonwealth country as a result of forced labor during our colonial rule. I will transfer precious antiquities of British Museum, which were originated but confistigated from our Asia Commonwealth countries during our colonial rule...............

Our Asian Commonwealth countries have become the most important and closest nations for the UK now in this twenty-first century, sharing such values as democracy, freedom, and market economy. Our relationship is not confined to our bilateral relations, but rather it is a partnership where we cooperate and exercise leadership for the peace and prosperity of the world by encompassing a broad spectrum of agenda the international community, the growth and development of the world's economy, as well as issues of global scale such as nuclear disarmament, climate change, poverty and peace-building.

At this significant juncture of history, I strongly hope that our bond will become even more profound and solid between the UK and our Asian Commonwealth countries, and I declare my determination to make every ceaseless effort to open the future between our two nations."

Queen save the Prime Minister, salute and prayer!!

Friday, August 13, 2010

円高とメディア

 8月に入って円・ドル、そして円対主要通貨の為替レートは高くなってきた。それを受け、メディアが一段高くなった円は経済状況は更に悪化させ、特に輸出向きの企業にとっては国内外の側面からダブルパンチで食らわれていると報道している。たとえば、トヨタ自動車は対ドルの為替レートは1円高の場合利益が300億円減少するという例が良く引き出されている。しかし、経済学のイロハをさえ理解すれば、現実に円高がもたらした影響は必ずしもメディア報道の通りではない。

 第一に、為替レートの価値は物価と貿易量の要素を考慮に入れて評価しなければならない。つまり、物価と貿易量を反映した為替レートから円の真の価値を評価すべてである。物価と貿易量を加味した指標は実質実効為替レートと言う。円対ドルの実質実効為替レートは日銀が過去30年の推移をまとめており、円対ドルの実質実効為替レート指数を見れば、2005年は100とすれば、2010年7月現在それが98.36となった。つまり、円対ドルの為替レートは物価と貿易量を考慮に入れれば、決して円高になっていない。したがって、いまの円高と声高に叫ばれる根拠はなく、いまの円はむしろ2005年よりも価値が低い。

 第二に、日本の輸出はGDP比が約12%(約60兆円)であるに対して、輸入はGDP比が約10%(50兆円)である。さらに、製造業に占めるGDP比は約20%に過ぎず、その半分は輸出の付加価値に寄与していると考えてよい。実は輸出商品の中に全てトヨタ自動車のように完成品ではなく、多くは中間財であり、それらの中間財は海外の日本企業へ欧米等の多国籍企業に供給されている。アップル社はアイホンやアイパッドのような製品を作るために日本企業から中間部品を購入している。円高で代替部品が見つからない限り、アップル社としては他のコストを削減してもアイホンやアイパッドの製品を値上げさせないで販売が続いている。言い換えれば、必要がされる部品が日本国内で製造され、円高の影響はあるとすれば、それが末端の完成品の販売元にそれが転化され、日本国内の企業にとってさほど影響を及ぼさないはずである。こうしてみれば、円高の影響はメディア報道のように深刻ではないことを理解できよう。

 日本の不況は構造的なものであり、それが政治不全の状況によってさらに不況脱出の糸口が導かれない状況が続いている。円高は輸入にもってプラスな効果が大きく、海外旅行も安くなったりするように、この不況の中でも生活を豊かにさせることが十分可能である。にもかかわらず、メディアは日本の再生に国民に対して本質か建設的な言論を提示しないまま、毎日円高だ、政局だ等の極めてレベルの低い報道を作り出し続け、この国はメディアによって滅ぼさせかねない。

Friday, August 06, 2010

高齢者行方不明

 超高齢化社会になりつつある日本では、100歳を超えている高齢者は約4万人となっている。ここ数日間、メディアの報道によれば、行方不明となった100歳を超えた高齢者は各地で続々と判明され、産業新聞の調べによれば今日現在その数は既に71人となった。これまで、高齢化社会という社会状況の中で、行政部門においては日課のように届け等の書類を通じて100歳を越えた高齢者数を把握してきた。つまり、死亡届けや行方不明等の書類さえ出されていなければ、最後に提出した行政が求められている書類をもとに100歳を超えた高齢者数を集計しているので、その数の信憑性に誰も疑うこともなかったのであろう。しかしながら、その前提と異なるのは現実である。
 この問題が発端されてから各地の役所の担当者は異例の暑い日々に100歳を越えた高齢者の所在確認に追われており、大変のようである。警視庁の資料によれば、2009年度に家出人捜索願は81,644人であり、行方が判明できたのは79,936で、1,708人は行方不明となっているようである。極端に比べれば、その数は超高齢者の行方不明の数よりも遥かに高い(約2.1%対0.2%)。
 役人を弁護するつもりはないが、行方不明になった超高齢者は行政上の瑕疵が生じたとかの問題ではないように思う。むしろ、家族の絆が崩壊してしまった現在の社会によって生じたものである。家族とは何か、改めて超高齢化社会になる日本社会は家族の絆を真剣に取り戻さねばならないというまでもない。

Thursday, June 17, 2010

民間人の活用

鳩山前内閣の意向を引継いだ形で、菅首相は丹羽宇一朗氏を駐中国大使の任命、さらに高速道路会社5社の社長という要職に民間企業からの人材を充てることを正式に決定した。政府または国有企業の要職に民間企業での経験者を活用するのはアメリカやヨーロッパ諸国ではよく見られるので、菅内閣の決定に対して異論はない。

しかし、やはり人選のプロセスは必ずしも透明ではない処が気に掛かる。特に、官僚組織のはい抜きは専門的な能力が限界だとか、官僚OBの場合は天下りだとか、という理由のみで、民間人の抜擢を正当化する傾向に疑問をもつ。なぜならば、日本の民間企業に長く勤めた経験者を、外交や国有企業の経営などに就かしても能力の限界やミスマッチが生じる可能性でも生じない保証はないのである。仮に、そういう問題を考慮に入れたうえの判断であっても、任命権をもつ首相や大臣の恣意性が問われかねない。

恣意的な意向を極力に取り除くため、人選のプロセスを透明にする必要がある。アメリカの経験を参考にすれば、次のような対応によって人選プロセスの透明性を確保することができよう。

まず、有識者の代表から中立的な人選委員会を設置する。その委員会は政府または大臣が指名した候補者から最も適任する候補を選ぶ。国会は超党派の衆議議員からなる委員会を設置し、公開ヒヤリングを経て選ばれた候補者の適任性を確認し、そのプロセスをクリアした候補者のみ、首相に推薦して承諾の手続きを完了する、というような具体的なアプローチを早急に確立してほしい。

サッカーワールドカップと日中韓

南アフリカで行われている第19回FIFAワールドカップにはアジア地区から日本、韓国、北朝鮮が出場している。この3カ国の代表的な選手はJリーグで活躍している。日本を代表する選手を紹介するまでもなく、韓国はイ・ジョンスは鹿島アントラーズ、パク・チソンはかつて京都サンガ(現マン・ユ)等の選手がいる。北朝鮮は鄭大世(チョンチセ、川崎フロンターレ)と安英学(アンヨンハツ、大宮アルディージャ)の二人である。Jリーグはヨーロッパ諸国の主要なサッカーリーグと同じく、ワールドカップ級の選手が活躍する場となってきたのに、ここ数年Jリーグは中々盛り上がらない。

Jリーグの各チームはもう一度地域に根付くサッカークラブという原点に戻り、さらにサッカー以外のスポーツも取り組むよう切望する。日本、中国および韓国の経済は凡そ1,100兆円であり、北米やEUに続く第3の経済地域である。このような経済規模ならば、日中韓3カ国が共同してヨーロッパ地域のサッカーリーグと競合できる舞台を用意することができるはずである。そうすれば、世界中の一流選手が集まってくると同時に、サッカーをはじめ他のスポーツ競技も活性化され、結果として3カ国の人々や文化などの交流が一層高まり、ひいては経済規模もさらに大きくなる。

Sunday, May 02, 2010

Honorary Doctorate for PM Dato' Sri Najib Razak

On his official visit to Japan from April 18 to 20, 2009, PM Dato' Sri Najib Razak was conferred a Honorary Doctorate by Meiji University on April 20. The honorary doctorate was conferred for PM's outstanding records in promoting development in Malaysia, and Japan-Malaysia relation.

The conferment ceremony was attended by more than 500 people, including Malaysian students studying in Meijing University and other Japanese universities.



Friday, April 23, 2010

Meeting PM Najib Razak in Tokyo

Met PM Dato' Sri Najib Razak on April 19, at the State Guest House, Akasaka Palace, during PM's official visit to Japan.

Thursday, April 22, 2010

Malaysian Prime Minister's Visit to Japan

PM Dato' Sri Najib Razak visited Japan had an official visit to Japan from April 18 to 20. In this first official visit, since becoming the 6th Malaysian Prime Minister, PM Dato' Sri Najib Razak and Datin Sri Rosmah Mansor were received in audience by Their Majesties the Emperor and Empress of Japan.

In addition, PM hold official meetings with Japanese PM Yukio Hatoyama. The Summit Meeting between the two leaders concluded with a joint-statement for Malaysia-Japan's "Enhanced Partnership for a New Frontier," which lays out the following 4 key areas of cooperation.

  • Cooperation for Peace and Security;
  • Cooperation for Strengthening Competitiveness and Sustainable Growth;
  • Cooperation for Contribution in the Areas of Environment and Energy;
  • Cooperation for Human Resources Development and People to People Exchange.

Both leaders also concluded an agreement on "Japan-Malaysia Cooperation Initiative on Environment and Energy."

Japan's interest in Malaysia has declined substantially during the premiership of Abdullah Badawi in the past few years because of his weak leadership and incapability to articulate partnership with Japan.

But, PM Dato's Sri Najib Razak's visit to Japan has rekindled a renewed Malaysia-Japan relation, whereby "Look East Policy" has been one of the key pillars. At the same time it has also initiated new partnership for a forward looking cooperation beyond bilateral relations. From now on, the focus is to transform various initiatives into specific actions.

Thursday, April 15, 2010

アメリカの株価上昇への疑問

4月に入ってから米国経済に関する代表的な指標の数字は予想よりも芳しく、経済回復の期待が高まっている中で、14日にニューヨーク株式市場でダウ平均は11,123.11ドルで取引を終えた。これは2008年9月末の水準であるという。株価の動向は果たして現実の経済状況を反映しているかについて意見が分かれるのであろう。

株価は景気の先行指標であるとしばしば指摘される。したがって、近日のダウ平均の上昇は米国の景気が回復しつつあることを現しているのである。しかしながら、実物経済を測る米国の鉱工業生産はまだリーマンショック前のレベルに戻っていない。それなのに、なぜダウ平均が上昇しているのか。論理的に整理すれば、次のことになる。

株価は企業の将来収益を反映して形成されるものであり、ダウ平均の上昇はその指標を構成する企業の株が上がっている結果であり、同時にそれはそれぞれの企業の将来収益が増加するという期待によるものである。しかしながら、依然として鉱工業生産水準は低い状況の中で、企業の将来収益はなぜ増えるか、という疑問が残ると思われる。それは株価の上昇によって資産効果がプラスに働くと期待されているから、という説明になる。

リチャード・クーは米国の景気は決して株価ほどに回復されていないと警告している。同感である。ニューヨーク株式市場で景気回復を先行して株価が上昇しているのは、機関投資家などのプレやーによってもたらされた投機的な行動の結果であると指摘したい。つまり、企業の配当を得るよりも、短期的に株の売り買いという需給関係で一時的に株価を上げさせたりして利益を得る行動である。

アメリカ型自由経済・資本主義はサブ・プライム問題を起こし、それを端に発した先進国の経済危機という教訓は2年間が経たないうちに、再びに投機的な経済行動を中心に経済が動いているように見える。人間のアニマル・スピリットを抑止する資本主義を構築しない限り、ますますグローバル化になる経済においてより短いタイムスパンで危機が繰り返して起きるのであろう。

鳩山総理とオバマ大統領の非公式会談:雑感

核安全保障サミットへ出席された鳩山総理はオバマ大統領との公式会談が実現できなかった代わりに、外務省は米国のカウンターパートの理解を得て、夕食会に両首脳が隣り合わせの席上にて非公式会談をセットした。あいにくその会談はわずか10分程度に過ぎなかった。会談の主旨は普天間移設に関するものであった。

首脳同士の会談であるが故に、鳩山総理は日本語で、オバマ大統領は英語で、間にそれぞれの通訳を介して会談が行われたに違いない。また、10分間の会談だったので、それぞれの首脳の持ち時間は5分となり、通訳を介すれば一人の正味は概ね2.5分という計算になるのであろう。そうした状況の中で、各首脳の発言はたやすく以下のように推測することができよう。

「バラック、この夕食会においてお隣に座らせて頂いて非常に光栄に思い、謝意を表します。これを機会に、普天間移設問題について説明させて頂きたい。昨年の11月に東京で話し合った以降、日米同盟や日米安保条約の精神を維持し、宜野湾市の市民をはじめ沖縄県の県民、ひいては日本国民の期待を尊重しながら、あらゆる側面から検討させていただいており、私と致しましては、全力して5月末までに最善な結論を出すことに致します。トラストミープリーズ、バラック。」

(日英通訳後)

「ユキオ、こちらこそ、私が主催している核セキュリティーサミットにご出席頂き、厚く御礼申し上げます。核兵器無きの世界を実現させるために、日本からの協力が極めて重要であるので、よろしくお願い申し上げます。さて、普天間移設問題は正に日米同盟や日米安全条約の礎であるのみならず、わが国の国際社会の安全保障において最も重要かつ戦略的な基地となっております。ユキオのご尽力とご英断による普天間移設問題の円満な解決を高く期待しているところです。」

(英日通訳後)

「サンキューベリーマッチ、バラック」、(握手しながら)、「ノープロブレム、ユキオ、レッツ イート」。

Wednesday, March 10, 2010

報道メディアの「翻訳力」

日本の報道メディアは依然として政治に関心がなく、政局を煽る記事やニュースをばかり報道している。中でも、政治家の発言を「メディア語」に翻訳され、政局を煽る記事が多く作られている。以下の二つは具体的な例である。

その一つ、前原誠司国土交通相のテレビ番組で発言したものである(3月28日、テレビ朝日番組)。発言主旨は小沢民主党幹事長の「政治資金」に関するものであった。前原誠司大臣は「自身(小沢一郎氏)が幹事長という立場にあって、どうすれば参院選に勝てるのか考えてもらうことが大事だ」と述べたことを、メディアは「(前原誠司大臣が)国民の理解が得られない場合は自ら進退を判断すべきだとの認識を示した」という「メディア語」に翻訳された記事であった。

次に同じく前原誠司国土交通相は9日の午前に行った記者会見で、「政権交代をしたという 歴史的使命感に立って当事者が判断することだ」と述べたことを、メディアは「(前原誠司大臣が小沢一郎幹事長は)自発的に進退を検討すべきだとの考えを示した発言だ」という「メディア語」に翻訳された記事であった。

以上のように、報道メデァアは、前原誠司大臣が実際に発言したもの(イタリックの文章)を政局を煽るような解読や見解(太字の文章)を一般大衆に伝えるのである。政治家の発言は日本語という言葉通りに解せず、あるいはその発言の真意が言葉のままではなく解読が必要であり、何より報道メディアはその解読力をしか持ち得ない、という不思議な報道メディアの翻訳・解読の力であろう。

Sunday, March 07, 2010

首都高山手トンネル

西新宿JCTから大橋JCTまで4.3キロ区間が3月28日に開通することになり、約18年間をかけて全長11キロの首都高山手トンネルの建設はようやく完成されたのである。前半の熊野町JCTから西新宿までの6.7キロ区間は07年12月に開通した。山手トンネルの区間は板橋の熊野町JCTから渋谷の大橋JCTまでである。

当該トンネルは先駆的な工法で「シールドマシン」という直径約13メートルの円形堀削機によって造られた。また、騒音、排気ガス、トンネル上の景観、沿道環境などのエコロジー・環境にやさしい技術が導入されている。

首都高速道路株式会社の資料によれば、利用者は都心環状線を通さず、山手トンネルで東北道と東名を結ぶ走行距離は約5キロが短くなり、それの通過時間は18が短縮されるという。それによって年間約34,000トンのCO2削減に貢献する。CO2トン当たり2,000円だとすれば、年間6,800万円の価値となるのであろう。温暖化効果ガスの削減とは別に、利用者の時間短縮は山手トンネルが与える最も大きな効果に違いない。

トンネルの上:山手通り


トンネルの上:山手通り(煙突のようなものは高さが45メートルの換気塔であり、トンネルへの給気とトンネルから処理された排気ガスの排出)


大橋JCT:東名、渋谷への分岐


大橋JCT:西新宿方面のトンネルから上がってくる

Thursday, March 04, 2010

国際スポーツ競技における日本競争力の強化

今朝、桜井充参議員が参議院予算委員会で今後国際スポーツ競技会においてチームジャパンの強化に関する鳩山政府の財政支援について、鳩山首相と川端文部科学大臣との質疑応答を聞いた。チームジャパンはバンクーバーオリンピックでメダル5つしか獲得できなかった。それは隣の韓国や中国、そしてアメリカ、イギリス、ドイツ等の他の先進国のパフォーマンスと比べられない結果であった。

メディア報道でもあったように、桜井充参議員はチームジャパンのメダル獲得数は期待より遥かに低かった原因は国の財政支援が少なかったからであると指摘していた。ドイツ、アメリカ、イギリス、中国や韓国はバンクーバーオリンピックのために選手の強化費用はそれぞれ274億円、165億円、120億円、120億円、110億円にあったのに対して、チームジャパンが受けた公的支援は約27億円であった。こうして比較すれば、メダルの獲得数は公的支援額の大きさに比例していることが明らかである。それが故に、今後国際スポーツ競技に参加する日本選手の競争力を高めさせるために公的資金の導入額は大きくしなければならないというロジックが成立し、それを反対する人はいないのであろう。

確かにチームジャパンの国際競技において競争力を向上させるために政府の財政支援が不可欠であるが、そればかりではない。財政支援の他に民間企業や個人のスポンサーシップも極めて重要であるのも異論はない。しかしながら、もう少し創意的な取り組みを検討する必要があるように思う。

例えば、政府、民間企業や個人のスポンサーシップを超えて、長期的かつ持続的に日本の各地において地域に根ざすスポーツ選手の育成・強化を取り組むモデルの導入が考えられる。それに近い形はJリーグモデルであるが、それが殆どサッカーに限定している。つまり、地域に根ざすプロスポーツクラブを確立し、国際競技の種目を幅広くスポーツ選手の育成と強化、ひいては国際的に高い競争力を持つスポーツ選手を絶えず育てていく仕組みを展開していくことである。そのうえに、公的・民間・私的スポンサーシップを取り付ける。また、このような仕組みは実に地域の活性化にも繋がるという一石二鳥の効果がある。

分かり易い例はスペインのバルセロナスポーツクラブである。当クラブはサッカーのみならず、当地域の住民の支援を受けてレベル高い様々な競技の選手を抱えている。

Tuesday, February 23, 2010

冬季五輪と日本メディアの報道

日本メディアはバンクーバーの冬季オリンピックに参加している日本の選手のメダル獲得に対して大きな期待を持っているようである。23日現在日本勢が取れたメダル数は3つであり(1銀、2銅)、それが日本放送界の予想と期待からかなり少ないと思われる。それは多くの日本選手の実力以下という予想に反した結果よりも、元々日本勢の実力はかなりの種目において決勝ラウンドに進む実力を持ちながらも、メダル獲得に至るパワーが不足していると解した方が正しい。

こうした現実は日本選手が最も知っているはずなのに、日本メディアは大会の前、そして大会中に日本選手の実力を大きく膨らませながら、メダル獲得の期待を大きく煽らせ結果、選手のパフォーマンスに対して国民が失望している。しかし、全ての選手は全力を尽し、メダルを獲得するに至らなくても、競技界の最高級であるオリンピックに出場できたことに満足しているに違いない。それは素晴らしいスポーツ精神であると思う。

こういう姿勢はメディア界にとってはニュースの価値がなく、むしろ選手の実力を遥かに超えた幻想を作り上げ、読者や視聴者を囲んでニュースの価値を煽り、メディアの役割、報道の客観性や選手のスポーツマンシップ等は二の次である。

謂わば、「犬は人を噛んだ」に関してはニュース価値がなく、「人は犬を噛んだ」というのはニュース価値である。

Monday, February 15, 2010

日本財界首脳選出

日本経済団体連合会(通称、経団連)は次期会長を米倉弘昌住友化学会長に内定した。御手洗高士夫現経団連会長は、米倉次期会長が選ばれたのが「経済のグローバル化に適応できる人物」を最大な理由の一つであると強調していた。日本財界の首相と言われているこのポストは選ばれた人の過去と現在の実績で評価され、それを下に向こう2年間ないし4年間(一期2年または2期4年)にわたって日本財界の取り組むべき課題、ならびにそれに伴う斬新的なリーダーシップが期待されるのである。

しかし、今日日本経済や財界が直面している問題は、言うまでもなく10年以上のタイムスパンで、ますます少子・高齢化という国内の厳しい制約条件の下で、いかに変貌していくか、そしてその社会・経済・政治構造がグローバル的な競争において勝ち抜くかである。そうした環境に於かれているにもかかわらず、経団連は依然として高齢者である経済会の代表を会長として選び、そしてそのポストを支えるメンバー(理事や評議員)もまた高齢者である、という経済界の高齢者指導集団を固執している。

リーダーの評価は過去と現在の実績が大切であるが、未来に向けていかにリードしていくかという能力や素質がより重要であるとしばしばリーダーシップの研究者に指摘されている。従って、経団連の指導者選出方法を改めなければならいのではないかと思う。つまり、伝統や慣習である「年功序列」という発想ではなく、未来の構築、そしてその理想にむけて実現させうる若手指導者を中心にした体制に変革すべきである。

過去、現在、未来という3つの区切りで考えると、過去と現在の実績の観点で経験豊富な年寄りが後見人に添え、彼らの助言のもとに、未来の挑戦に活力、柔軟性、発想力などの視点が富む若手経済人をリーダーにする体制を求めたいのである。

Friday, January 15, 2010

「没有」

中国語の「没有」を日本語に直訳すれば「ありません」という意味である。しかし、中国ではかならずしもその意味として使われていないようです。

約20年前に、北京等の中国の大都市で夕食を取ろうとしていた時に、多くのレストランでメニューの8割、特に美味しそうなものについて「没有」とばかり言われていた。当時は計画経済だからモノ不足だと思いこんでいた。しかし、実態はそうではなく、レストランの従業員は早めに店を閉めたく、客の注文通りに営業をしたら帰宅も遅くなり、それを避けるために「没有」という台詞で対応したのである。今日、日本よりも市場経済システムが浸透している中国では「没有」という精神は未だ残っている。

先日、2年ぶりに上海を訪れた機会に、東京の紀伊国屋とか丸善とか相当する「書城」という書店で、中国の「気功」を解説する本を購入しようと思い、案内カウンターの店員に尋ねたら、「没有」と言われました。そうか、「書城」にはこういう類の書籍を取り扱っていないのだと納得して諦めざるを得ませんでした。しかし、案内カウンターからちょっと離れた本棚に「太極拳」とか「少林拳法」とかの本が並んでいるのを見かけ、確認したところ、「気功」類の本が何冊もあった。解説が分かりやすいものを1冊購入した。

今回の経験を通じて分かったのは、この「書城」では「気功」の本が「没有」ではなく、案内係りの店員が「いま、こちらが同僚と喋っているから、邪魔だ」の言う代わりに「没有」という表現を用い、客を追い払ったことである。

Tuesday, September 01, 2009

税金の無駄使いの例

近年首都圏への相互乗り入れる地下鉄や私鉄の運行数が増加している。8月27日読売新聞の夕刊によれば、東京近郊の相互乗り入れ路線の総延長は90年現在の535キロであったのに対し、08年現在は922キロとなり、1.7倍増となった。23区に在住されている人々は、通勤時間台に頻発している乗り入れの電車の遅れによって迷惑を蒙っているに違いない。筆者も頻繁に影響を受けている。

鉄道相互乗り入れは通勤・通学圏が拡大される一方、利便さが増しているのは紛れない事実である。しかし、首都圏に住んでいる人々にとっては相互乗り入れによって頻繁に電車が遅れたり、それによってダイヤが乱れたりして迷惑であると思う利用者が決して少ない。経済学はこういう状況を「外部性」という。標準的な教科書は「外部性」が生じた場合にそれを正すために政府の介入が欠かせないと教える。

こうした標準的な経済学の教えをもとに、国土交通省は、東京近郊から首都圏への鉄道乗り入れに伴う電車の遅れ対策の一つとして、地下鉄の「引き込み線」に関する調査や情報提供などへソフト面の支援を行うための費用を2010年度予算の概算請求に計上したのである(8月27日読売新聞の夕刊)。さらに、国土交通省はそれらの可能性を調べたうえ、具体的な対応をするかどうかという決定を各鉄道会社に委ね、政府の対応はあくまでも鉄道会社の投資を促す方針であると強調している。

国土交通省の主張は予想される結果であるならば、最初からそうした調査を行わないで、別の方策を検討した方が国民の税金を無駄にならないと指摘したい。お役人は如何に自らの管轄において予算を多く取るかを考え、そのために経済学などの諸理論を用いて「科学的」に正当性を確保することが常である。その結果、無駄使いが増大し、そのツケを国民に回すこととなる。いつまでも国民の血税で財政赤字を埋めることになる。今回の国土交通省が取り組もうとする対策は典型的な税金の無駄使いである。

時差通勤による混雑緩和が一つの対応である。但し、これまでの時差通勤を利用者の自発な行動に委ねるというやり方ではなく、通勤時間にしたがって運賃の差別化(例えば、朝7~9時、夕方5~7時の間に運賃の5割増し)を図ると同時に、ラッシュ時の電車運転間隔を最低間隔5分間に規制し、それによって相互乗り入れの遅れを解消するというアプローチを取る。そうすれば、利用者の便益をマイナス外部性による社会コストと同じくすることによって問題が解決される。

Friday, August 28, 2009

プノンペンにおけるパレート法則の再現

パレート法則とは、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが社会現象を観察して発見した「80:20」という法則である。つまり、この法則によれば世の中において80%の結果は20%の原因によってもたらされている。ある社会または国を例にすると、パレート法則は20%の人口が80%の富を支配すると説明する。

実際に、世銀のデータベースから2004年現在一人あたり国民所得(米ドルで購買力平価、PPP)の統計を使ってジニ係数の計算とローレンツ曲線を描いてみると、前者は0.793であり、後者は10%の人口が9割の世界所得を支配しているという極めて不平等な事実を確認することができる。パレート法則は厳密に「80:20」の比例であることを意味するのではなく、「90:10」という比率もありうることを注意すべきである。

8月中旬にプノンペンを訪れ、知り合いの事務所から眺められる写真は実にカンボジアのある銀行家の豪邸であるとのこと。2007年現在同国の一人当たりGDPは約600ドルであり、単純に考えれば、約1,400万人の国民は1日2ドル以下で生活しているという状況にあるにもかかわらず、一人の銀行家の豪邸はなんと何処かの国の首相官邸の豪大さであると感じる。カンボジアはここ数年10%位の実質GDP成長率を遂げ、その配当は一般市民に行き渡るよりも、パレート法則が予測している通り、富は1割か2割の人々に支配されているとこの写真が物語っている。


Wednesday, August 26, 2009

卒業生との飲み会

8月7日に久しぶりに2006年の春に卒業したゼミ生の一部と暑気払いの飲み会をした。当期のゼミ生は10名だったと記憶しており、全員がそれぞれの職場で活躍されている模様である。何よりだ。今回の集まりはあいにく4名の参加であった。

写真の左奥の人物はいまや車いすテニスの世界ランキング1位の国枝慎吾氏である。今年の春からプロテニスプレヤーに転身し、国際試合で各地に飛び回り、大事なスポンサー獲得、そして車いすテニス等の啓蒙活動とかで忙しい日々を送っているようである。8月26日の日経新聞によれば、国枝氏はユニクロ社と所属契約を結んだという。ますますのご発展とご健闘を期待する。

Friday, July 17, 2009

"Rethinking Growth Policies in the Developing World:" Comments 8

By Lourdes Agnes K. Roncesvalles (Philippines)

Introduction

The article seeks to answer the question “what should developing countries do to increase their growth rates and speed up the rates at which their citizens converge to the level of material well-being obtained in today’s advanced nations?”

It discusses the Washington Consensus as an instrument, which Washington including the International Monetary Fund, among others, urged developing countries to adopt during the 1980’s as against the heterodox policies most developing Asian countries implemented. Further, it continues to show that the Washington Consensus may still be applied in developing policies if certain adjustments as explained through its augmented version are also achieved.

In the end, the author recognizes that there is no “one-size fits all” solution to economic development and thus presents a diagnostic approach to growth strategies wherein main bottlenecks to development are isolated and analyzed to determine strategic solutions. This methodology allows a government to address its weak points while giving it enough flexibility to address the latter strategically and within its capacities.

Comments

Washington Consensus vs. Heterodox Policies

The three main ideas around the Washington Consensus are macroeconomic discipline, a market economy, and openness to the world.[i] These concepts are probably derived from the neoclassical economic point of view. On the other hand, heterodox policies, adopted in most Asian countries, took on a more developmental strategy wherein their individual governments had more control over implementation of strategies.

Based on the Latin American cases, which adopted the Washington Consensus as an ideology and their failures vis-à-vis the apparent gains of the Asian countries that have “marched to their own drum,” it can be concluded that a single formula to development is not a solution to achieving development.

Boxing up such policies and assuming they could induce growth in all developing countries is therefore not a wise presumption. Factors such as political, social, cultural, as well as investor confidence, growth drivers, etc. of each country greatly affect development. Thus adoption of a certain policy that may have been effective for one country may not have the same results in another.

Saying that “no one size fits all” is a cliché. However, there is also an obvious truth to it. Strategies should be tailor fit to the implementers’ capacities as well as the society’s ability to adhere to the policies.

The recommended diagnostic approach would indeed allow developing countries determine strategies applicable to them. However, a vital step is not discussed in this strategy. This step refers to the determination of the main bottleneck. Many developing countries are faced with multiple impediments to growth. And for them to break out from this level, they have to address all of these within the limits of their financial, technical and physical capacities. As such, a prioritization process should be included as well.

Significance to the Philippine Case

The Philippines unlike its Asian counterparts has basically followed the Washington Consensus path since the 1980’s. Thus, I would like to highlight the effects of the three core recommendations of the Washington Consensus, i.e., to stabilize, liberalize and privatize on the country’s economy within the last two decades.

Stabilization

1) Government spending was reduced, as the focus was to balance the budget and pay for outstanding foreign debt this resulted in poor allocation of investments. As opposed to neighboring Asian countries where the government has been actively participating and investing in capital development, the Philippine government has not kept at pace in such investments.

Liberalization

1) From import substitution to export oriented – While foreign direct investments increased and improvements in some sectors such as the electronics industry, they overall process did not deliver the expected benefits to the manufacturing sector. This failure led to high unemployment rates as the manufacturing sector could not absorb the continuously growing labor market. As a result, employment generally shifted to the services sector. Productivity in the manufacturing sector thus remained low.

2) Agriculture – Unlike Japan, which is strongly protecting its agriculture sector, liberalization created problems for the agriculture sector. Farmers were, and still are, finding it hard to compete with imported products such as rice from Thailand and Vietnam due to a few main reasons. First is the high transportation costs within the country. Due to inefficiencies of the government in developing much needed railway systems, for example, that can cut transportation time and cost of products from both northern and southern regions has been slow. Furthermore, the agrarian reform act, which was intended to alleviate rural farmers from poverty, resulted in problems of economies of scale which further constrained farmers from competing with imported agricultural products.

Privatization

1) Privatization has been pursued since the political crisis of 1986. Since then the government has engaged in various privatization efforts, including the power, water supply and transportation sectors. However, initial attempts to privatize were maligned with various cases of corruption. At the same time, the government itself was not adapt to private sector mind sets thus would create misunderstandings during contract negotiations. This lack of capacity also resulted in unfair contractual obligations for the government, as in the case of the Metro Rail Transit Line 3 Project, giving the general public a negative perception of public-private partnerships. Despite this, the government continued its privatization policy in transportation, watery supply, power, and communications. Metro Manila’s water supply and sewerage system can now be said to have improved due to the privatization of the Metropolitan Waterworks and Sewerage System. The North Luzon Expressway and the Subic-Clark Tarlac Expressways are also examples of good privatization projects.

Conclusion

The Washington Consensus, in my opinion, is a generalization based on the western values and experience in development hinged on their belief in democracy. Furthermore it can be related to the neoclassical economic thinking wherein markets are left to develop on their own, thus promotes liberalization and privatization.

However, what the economists then forgot to consider is the value set of other developing countries, especially that of Asia. Heterodox policies are only “heterodoxical” from the western perspective. This may be what is normal or required for development in Asia given our nature or culture.

Furthermore, in light of the already globalized nature of trade, absolute liberalization may not be recommended as internal/local industries may not be able to catch up with the already competitive market thus instead of expanding could eventually die out as what happened in the Philippine case. It was therefore wise of both China and Vietnam to adopt partial liberalization. In the end, they were both able to participate in the world market as well as protect some of their industries.

As for the Philippine case, adopting the Washington Consensus had both positive and negative effects, albeit, in my opinion, more negative. By trying to stabilize the economy, the government was not able to utilize its capital to spur investments and, thus failed stimulate the economy especially during crises.

Liberalization, on the other hand, led to the Philippines dependence on both import and foreign capital, which led to fluctuations of growth and recession over the years.

Among the three recommendations, only privatization has thus far offered development in the sectors of transportation, water supply, telecommunications and power, if you do not consider the amount of “corruption” that came along with it.

At this point, the Philippines is still facing many obstacles to development. Economists, developers and planners alike have, in one way or another, utilized the diagnostics approach, however, the difficulty lies in determining which of these problems is to be prioritized. Given the very democratic nature of Philippine Government decision-making, policies end up as wish lists that try to address everything at the same time. In the end, targets are not achieved, as manpower and budget would always come up short of the requirements.

References:

1. The Washington Consensus as Policy Prescription for Development; John Williamson; Institute for International Economics; 2004.

2. Did the Washington Consensus Fail?, John Williamson, Peterson Institute for International Economics; Outline of speech at the Center for Strategic & International Studies; Washington, DC; 06 November 2002.

3. External Liberalization, Growth and Distribution in the Philippines; Joseph Y. Lim and Carlos C. Bautista; A paper for the international conference on “External Liberalization, Growth, Development and Social Policy;” Hanoi, Vietnam; 18 to 20 January 2002.

4. In the Shadow of Debt: The Sad but True Tale behind a Quarter Century of Stagnation; Walden Bello.

5. An Assessment of the Philippine Economy; Germelino M. Bautista; 2003.

6. Chapter 15: Privatization in the Philippines; Lauro A. Ortile; Challenges and Opportunities in Energy.



[i] Did the Washington Consensus Fail?; John Williamson, Peterson Institute for International Economics; Outline of speech at the Center for Strategic & International Studies; Washington, DC; 06 November 2002